出すの? 出さないの? ソチ五輪フィギュアスケート女子で銀メダルだったキム・ヨナ(23、韓国)の判定をめぐり、3月に大韓体育会と韓国スケート連盟が国際スケート連盟(ISU)の懲戒委員会に提訴すると報じられた。韓国は国民的ヒロインの“金逸”にいまだ怒りが収まらないが、その後は一向に動きがない。熱狂的ヨナファンのイライラがつのる一方、そう簡単に文句を付けられない事情があるようで…。

 ヨナは5月に引退興行となるアイスショーを控えている。私生活ではアイスホッケーのイケメン選手との熱愛発覚で話題を呼んだ。
 そんななか、メダル判定騒動は不気味な沈黙が続いている。

 ソチ五輪ではアデリナ・ソトニコワ(17=ロシア)に敗れ2連覇を逃した。この結果に納得がいかない韓国国民が激怒。ISUのチンクアンタ会長(75)は「厳正かつ公平な演技の評価に取り組んでいる。採点システムの高い質と整合性に自信を持っている」と声明を出したが、韓国国民の感情は収まらず先月21日、大韓体育会と韓国スケート連盟がISUの懲戒委員会に提訴すると発表した。

 韓国国内の報道では、提訴期限は試合終了後60日以内(4月22日)だが、世界選手権出場選手の不利益を避けるため大会後にも出す方針…とされていた。

 しかし、世界選手権が終わっても動きは何にもなし。9日付のスポーツ朝鮮(電子版)によれば、業を煮やしたヨナファンらが韓国側の積極的な対応を促す請願書を出すという。

 デッドラインは刻々と近づいており、まさか“提訴するする詐欺”になるのだろうか?

 動きの鈍さの裏には、こんな事情が隠されている。「本当に提訴するのでしょうかねえ。韓国連盟も国民の突き上げにしかたなく腰を上げたのでしょうけど、次の五輪のホスト国ですよ。ISU、IOC(国際オリンピック委員会)とケンカしますかね。国民との板ばさみで困っていると思いますよ」(フィギュアスケート関係者)

 次の冬季五輪は2018年に韓国・平昌で行われる。IOCはもちろん、ISUのような各競技団体と協力関係を築かなければ、大会成功は望めない。開催まで4年しかない状況で、もはや韓国の感情論に近いヨナの金逸問題でしこりを残すのは得策ではないのだ。

 チンクアンタ会長は「五輪はIOCが行う大会でもある。ISUとしては五輪期間中にIOCとともに分析し、すでに声明を出した。批判を述べる自由はあるが、誤りを指摘するには証拠も提出してもらわないと」とあえてIOCの名前を出し、けん制球を投げた。リミットは間近。韓国側はどんな行動を起こすのか…。