ソチ五輪ジャンプ男子で2個のメダルを獲得し、大ブレークした“レジェンド”葛西紀明(41=土屋ホーム)に新たなビッグプランが浮上だ。チェコのハラホフで行われた世界フライング選手権個人戦は強風で2日目(15日)が中止となり、4位に終わった。目標だったW杯個人総合優勝も逃し、悔しさを隠さないが、早くも4年後の平昌五輪での金メダル獲得に照準を合わせている。その夢を実現してもらおうと、前代未聞の「選手兼団長」に就任する可能性があるという。

 優勝を狙った世界フライング選手権の個人戦は4位。団体戦(16日)も強風のため、中止となった。W杯総合優勝にも届かなかったが、鉄人は50歳までの現役続行を宣言しており、今週末のW杯最終戦まで全力投球。2018年平昌五輪へ向け気を抜くつもりはない。

 そんな葛西に仰天プランが浮上した。ソチでは勢いと経験を買われて初めて日本選手団の主将を務めたが、18年平昌五輪では「選手兼団長」という大役に就任する可能性があるという。

 ソチ五輪日本選手団の副団長だった全日本スキー連盟(SAJ)の古川年正競技本部長(66)は「今度は団長でしょう。いいでしょう、選手兼で。ぜひぜひ、お願いします」と本紙を通じて熱く訴えた。

 ソチでの大暴れの裏には、主将就任が追い風になったとの見方が強い。「主将で銀、銅(メダル)なら団長なら…」と期待してしまうのも無理はない。しかも選手を兼ねることは、葛西にしかできないという。

 古川本部長は「(ノルウェー)オスロの世界選手権(11年)に行った時、私も走るのが好きなので朝チラッと走ったら、あいつ、朝の6時からちゃんと走ってました。あの暗いオスロの朝にですよ。ああいうことだと思います。かっこいい場面だけじゃなく、皆さんに見せられない時間をいっぱい過ごしてきたんでしょうね」と称賛。

「『今度は金メダル』って言った時に、あいつならいけそうだと思いましたよ。よく『年寄りは早く辞めなきゃダメだ』って言うじゃないですか。葛西は別です。いてほしい年寄り。見本になる。手本になる」とラブコールを送った。

 冬季五輪の団長は2大会連続で日本スケート連盟会長の橋本聖子参院議員(49)が務めている。全競技の選手に目を配らせるばかりか、他国との関係構築やスポンサーへのもてなしなど団長の仕事は山ほどある。選手が兼任すればもちろん、史上初のことだ。しかし、葛西はすべての常識を覆した男…。最初から無理と決めつけることは早計というわけだ。

 平昌では橋本氏からバトンを受け、伝説を超える“スーパーレジェンド”になるのか。その行方から目が離せない。