来年夏に延期した東京五輪の準備状況確認のために来日している国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(66)が新型コロナウイルス対策に自信を深めている。コロナ第3波が襲う今、日本国民が最も不安視しているのが「安全に行えるのか?」という点だ。これについて「安心してほしい」と訴えるが、その裏付けがワクチン開発への“確信”だった。

 バッハ会長は「大会まで9か月もある。今の知見に加え、さらに高度化する迅速簡易検査方法なども活用できる。その間にワクチンも開発されるだろう」と予測。「ワクチンが提供できるようになったら、なるべく多くの外国人選手たちが母国で予防接種を受けて日本に渡航できるようにする。そうすれば日本国民の皆様も安心していただけると思う」とプランを披露。その費用については「IOCがコストを負担する」と明言した。

 先ごろ米製薬会社ファイザーが、臨床試験中の新型コロナワクチンについて「90%以上の有効性を示した」と発表し、話題になった。ただ、ワクチンが実用化されるまでには2~3年はかかる…との見方は根強くある。五輪の開催可否を判断するIOCのトップとしては、楽観的すぎる印象が否めないのだ。

 一方、東京大会の観客については「当然、いっぱいのスタジアムの方が喜ばしい。ベストは満員かもしれないが、場合によって人数は少ないかもしれない」と有観客を想定しつつも、最終決定については「申し訳ないが、まだ時期尚早。今の段階で9か月後の観客の状況を申し上げることはできない」と話すにとどめた。ならば9か月後のワクチンの状況も同じはずだが…。