東京五輪ウイルス対策の「決定的な欠点」 米国は最悪不参加も… 

2020年11月13日 11時30分

バイデン政権が誕生したなら…(ロイター)

 新型コロナウイルスの新たな感染者が12日、過去最多の1660人となり、第3波が日本を襲っている。連日、過去最多を更新している北海道を筆頭に全国で感染が再び急拡大。そんな中、東京五輪の新型コロナウイルス対策を検討する調整会議は同日、海外からの観客に対して14日間の自主待機措置を免除する方針を打ち出し、批判を呼んでいる。さらには、米国からも東京五輪に関して不穏な空気が流れてきている。

 感染の再拡大が止まらない。北海道は12日、札幌市だけで過去最多となる164人が感染、北海道全体でも過去最多を更新する236人が感染したと発表した。

 東京都も12日、過去5番目となる393人の感染が明らかになった。これは8月上旬の感染拡大期に迫る数字。この日の東京都のモニタリング会議では、感染者数の週平均が先週から1・5倍に増えたことを受け、専門家から「このままでは4週間後に1日の感染者が1000人を超える」との試算が示され、さらに「急速な感染拡大の始まり」の声も上がるなど警戒感をあらわにした。

 都の関係者も「警戒レベルは4段階で上から2番目に深刻なレベル3を10週連続で維持しているが、今回は専門家たちの間でも評価が分かれた。もはや最高レベル4の瀬戸際といった雰囲気で、このまま拡大し続ければ、再び飲食店への自粛要請が出かねない」と声を潜める。

 12日は北海道のほか、神奈川(147人)、兵庫(81人)、茨城(26人)、岩手(10人)が過去最多を更新し、冬の足音とともに感染が急拡大している状況だ。

 一方で、この日開かれた東京五輪・パラリンピックの新型コロナウイルス感染症対策調整会議で、海外からの観客を受け入れる場合、原則14日間の自主待機措置を免除し、公共交通機関の利用も認めることで一致した。

 これに対してネット上では「どうやら俺たち政府から見捨てられたみたいだぞ」など、さまざまな批判の声が噴出した。

 入国前までに十分な検査を行い、入国後はスマートフォンのアプリを活用した滞在中の行動・健康管理をすることを検討しているというが、「COCOAですらまともに国民が使ってないのに、アプリで外国人を管理できるはずがない」といった辛辣な声も上がっている。

 実際、厚労省が日本国内向けに提供している新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」は、10月下旬の時点で人口の15%ほどのダウンロード数しかない状況からも、本当に来日外国人をアプリで管理できるのかという疑問が生じるのは当然かもしれない。

 そんな中、東京都議で都民ファーストの会の尾島紘平氏は、ツイッターで「日本におけるオリパラ開催可否議論には『相手の立場』という観点が欠けている。蔓延を抑えようともせず、むしろガードを下げようとしている日本にわざわざ行く、あるいは選手派遣をする選択肢があるのかどうかだ。決定的にズレている」と指摘した。

 感染を抑制できないまま五輪を開催したところで、海外から選手や観客が来るのか?という問いかけだが、真剣に考えなければいけない状況が、はるか海を越えた米国からもたらされるかもしれない。

 在米ジャーナリストは「バイデン氏が来年1月に新大統領に就任すれば、トランプ政権で失策といわれた米国のコロナ対策は一変して強化される。9日の演説でも彼は全国民にマスク着用を呼びかけ『新型コロナを制御するのに取り組めるすべての手を打つ』と強調した。出入国を含めたあらゆる基準が厳しくなるのは確実で、そうなれば感染のリスクを負ってわざわざ日本へ行く人は少なくなるかもしれない」と指摘する。

 すでにバイデン氏は、コロナ対策を次期政権の最優先課題に位置づけており、専門家チームの立ち上げも表明している。世界で最も感染者が多い米国だけに、国外に出れば渡航先に感染を広げる可能性もある。

 バイデン氏のリーダーシップのもと、最悪の場合「五輪不参加」という判断を下す可能性は捨てきれない。日本は第3波のさらなる拡大を食い止めることができるのか。