【マカオ20日発】ロンドン五輪ミドル級金メダリストで日本同級1位の村田諒太(28=三迫)が下克上を誓った。プロ3戦目の舞台となる「リング・オブ・ゴールド」(22日、コタイアリーナ)には3人の五輪金メダリストが参戦するが、格的には村田が最も下。この序列を覆すような試合内容で「主役」の座を奪取するというのだ。

 村田がロンドン五輪で獲得した金メダルは日本ボクシング界としては1964年東京五輪以来、48年ぶりの快挙。米興行大手「トップランク」社のボブ・アラム代表(82)も「ムラタのゴールドメダルは、日本に大きな感動をもたらした」と称賛する。

 ところが、村田本人の捉え方は違う。「日本で『金メダリスト』は珍しいかもしれないけど、ここに来たら金メダリストが3人もいる。その中で目立つような試合をしないといけない」と話した。

 今回の興行には村田ら3人の五輪金メダリストが出場する。最も「格上」なのは、北京とロンドン五輪のライトフライ級を制した鄒市明(ゾウ・シミン=32)。地元中国出身のスーパースターで、今回はメーンイベンターを務める。これに続くのがロンドン五輪ライトヘビー級の覇者イーゴリ・メホンツェフ(29=ロシア)だ。

 ボクシングでは王者が複数いる場合、体重が重い選手の方が格上の扱いになる。鄒市明は一番軽い階級だが、五輪連覇の地元の英雄。そうなると村田が「3番手」になるのは仕方のないところだ。

 となれば、インパクトのあるファイトをして、観客の視線をくぎ付けにするしかない。村田は「もちろんKOを狙っていきたい。この街が必要としてくれるような試合をしたい」ときっぱり。他の2人を“食う”ような試合内容で、ビッグイベントの主役の座を奪い取るつもりだ。

 すでに体重はリミットを下回り、前夜も日本料理店でうなぎを食べるなど調整は順調。あとはプロ初の海外リングで「しっかりしたパフォーマンスをするだけ」だ。