【ロシア・ソチ20日(日本時間21日)発】フィギュアスケート女子でバンクーバー五輪に続く連覇を狙ったキム・ヨナ(23、韓国)は銀メダル。ショートプログラム(SP)は首位だったが、フリーで地元ロシアのアデリナ・ソトニコワ(17)に逆転を許して涙した。

 ヨナが渾身の演技で現役最後の舞台を終えた。先にカロリナ・コストナー(27=イタリア)が圧巻の演技を見せ、ソトニコワが驚異的な得点を出した。重圧がかかる最終滑走だったが、雰囲気にのまれることなくタンゴの名曲を滑り切った。

 ただ、得点はソトニコワに及ばず、カタリナ・ビットさん(48=ドイツ)以来26年ぶりとなる史上3人目の連覇は果たせなかった。それでも、達成感はあった。感極まり、涙を流したヨナは「今は(最後の試合が)終わったな、と思うだけ。疲れましたね」と率直な感想を口にした。

 一方、ドイツ公共放送ARDで解説を担当したビットさんは「ヨナが金メダルを獲得すべきだったと思う。採点には落胆したし、正直怒りを感じる」と不満を表明。会見でも「ソトニコワの得点が正当だと思うか?」という質問も飛んだ。それでも、ヨナは「スコアはジャッジが付けるもの。私が何を言っても変わるわけではない。重要なのは参加すること。最後にここにいられて満足している」と淡々と答えた。

 ソチ五輪出場は自国開催となる18年平昌五輪に向け、後輩に道をつなぐ意味があった。すでに金メダルを手にしていたヨナにとって、今季はモチベーションとの闘いにもなった。これまで強気な顔を見せてきたが、最後は「これが最後になるのは間違いない。競技生活が終わることはうれしい」とほっとした表情だった。