ノルディックスキー複合のノーマルヒル銀メダリストで、18日の個人ラージヒルで金メダルを狙う渡部暁斗(25=北野建設)に“神風”が吹いた。


 ドイツのコーチによるとノーマルヒルの金メダリスト、エリック・フレンツェル(25=ドイツ)が2日前に、風邪で38度の高熱を出してダウン。ラージヒル出場が「フィフティー、フィフティー」になっているという。フレンツェルは昨年のW杯総合王者。圧倒的なクロスカントリーが武器で、渡部暁にとっては最大の壁だった。


 フレンツェルの出場は18日朝8時に決まる。出場できたとしても、影響は必至だ。ドイツコーチは「ジャンプは問題ない。ただ、クロスカントリーは難しい。ここでレースするのはとてもハードで100%の力が必要だ。スタートできるかどうか分からない」と危機感をあらわにした。


 日本の成田収平監督(49)は「チャンスとするのか、気を引き締めなければいけないのかといえば後者のほう」と冷静に話したが、20日にはラージヒル団体も控えている。日本に“追い風”が吹いてきたと言えよう。


 渡部暁は、この日の練習では2本のジャンプで全体2、3位。葛西紀明の銀メダル獲得で、スイッチも入った。「葛西さんが成し遂げたこと自体が素晴らしいことですし、同じ銀メダルでも自分のとは全然価値が違う。ボクはまだ青いんで、青メダルです」。渡部暁が日本複合史上初の個人金メダルに王手だ。