スノーボードクロス(SBX)の“美人ボーダー”藤森由香(27=アルビレックス新潟)は1回戦で涙をのんだ。予選を6位で通過したが、6人1組で行われた初戦で転倒。最下位の6位でゴールし「非常に残念。今まで上げてきた技術、メンタル面を生かし切れなかった」と悔やんだ。

 雪辱の場で完全燃焼できなかった。バンクーバー五輪では直前の練習で転倒し頭部を強打。ドクターストップにより試合を棄権した。帰国後も、目まいなどの後遺症に半年近くも悩まされた。SBXはキッカー(ジャンプ台)など障害物のあるコースを複数で滑る。今季の藤森は接触に強い肉体を目指し、強化を図ってきた。

 犠牲にしたのは“女らしさ”。ベンチプレス、腕立て伏せ、懸垂…。藤森の上半身は逆三角形に変化し、おしゃれな服も着ることができなくなった。「ファッションなんか気にするんですけど、今は別にそんな気にしてはない。昔より美に対するものは薄れてきてる」。19歳で出場したトリノ五輪から美女ボーダーとして脚光を浴びた藤森にとって、当初は葛藤があったはず。それだけメダルにかけていたが…。

 今後については「これから考えたい」と態度を保留。大会前は「一つの区切りとして考えている」と話しており、決断はどうなるか。