【ソチ14日(日本時間15日)発】日の丸飛行隊の復活なるか。ノルディックスキー・ジャンプの男子個人ラージヒル決勝(HS140メートル、K点125メートル)は15日午後9時半(日本時間16日午前2時半)から行われる。日本勢は14日の予選を全員通過した。伊東大貴(28=雪印メグミルク)の2位を筆頭にビッグジャンプを連発。予選免除のエース葛西紀明(41=土屋ホーム)を加え、メダル獲得へ勢いをつけた。

 五輪直前のW杯で左ヒザ裏を痛めてノーマルヒル出場を見送った伊東が、出遅れを取り戻すジャンプを決めた。最長不倒にあと50センチに迫る130・5メートルの大飛行。飛型点ではトップを記録し、好調時のジャンプの復活を強く印象づけた。

 左ヒザ裏は現在も万全ではない。この日も痛み止めを飲んでの我慢のジャンプだった。だが、治療は順調。内容こそ明かさなかったものの、伊東は「飛んでいる時は必死なんで痛みは感じない。痛いからといってジャンプに影響が出ているわけじゃない」と断言。ジャンプは飛ぶごとによくなっており「こっちに来て初めて130いったし、明日に向けていい自信になったと思います」と手応えを口にした。

 日本はエースの“レジェンド”葛西がノーマルヒル(8位)後に腰痛を発症。この日も会場に姿を見せず、電気などの治療に専念した。ブログには「腰はなんかイマイチな感じ」と弱気な発言もしており、回復具合も気になる。

 しかし、日本勢は伊東だけではなく他の選手も調子を上げている。爆発力を買われて抜てきされた20歳の若武者、清水礼留飛(雪印メグミルク)が130・5メートルで3位。「飛びやすい。あとはタイミングだけ遅れなければ」と上位進出を見据えた。さらに肺炎による入院からカムバックした竹内択(26=北野建設)も127メートルで6位につけ「公式トレーニングよりはいい」と前向きだ。

 葛西ら上位10選手が予選を免除されているため、伊東も「実質ランキング的には12位なんで」。気は抜けないが、日本勢の奮起は葛西にも好影響を与えることは必至だ。各選手ともジャンプ台への苦手意識はなく、17日のラージヒル団体にも弾みがつく。「いろんな状況がコロコロ変わる台なので(予選の飛距離なら)トップ10が飛び終わっても、上位に食い込むことができると思う。悔いのないように強い気持ちでいきます」。伊東の言葉には日の丸飛行隊全体の決意が表れていた。