新型コロナウイルス禍で来夏に延期した東京五輪の簡素化による財政効果が約300億円となることが7日、大会組織委員会によって公表された。

 この日に開かれた国際オリンピック委員会(IOC)の理事会で、大会組織委は簡素化による節減・抑制額の概算値を報告。財政効果が大きかった5項目の削減内容は以下の通り。

 ①会場における仮設オーバーレイの仕様の見直しおよびサービスレベルの引き下げ(約150億円)

 ②競技会場・選手村等のルックの削減(約10億円)

 ③聖火リレー実施方法の簡素化(約8億円)

 ④大会関係者の人数の調整(約10億円)

 ⑤組織委員会スタッフの要員計画の最適化(約30億円)

 ①については会場運営のスペースを縮小し、照明設備などを節減。チケット販売に影響しない仮設スタンドの削減などを行った。②の競技会場、選手村は面積の20~40%程度を削減。③の聖火リレーは実施期間121日、聖火ランナー数を維持しつつ、車の隊列の一部を削減し、それに携わるスタッフの数を見直した。④は選手を除く大会関係者約5万人のうち10~15%を削減。それに伴ってサービスの質ではなく量を減らし、提供される飲食費用などを削減した。⑤の最適化では、例えば人員の採用を可能な限り後ろ倒しし、直前期に採用することで費用を抑制。また、大会終了後に行う財産処分などの解散業務を事前準備と並行して進め、人件費の抑制を図った。

 今回公表された約300億円について組織委は「暫定的なもので変動するもの。今後も簡素化の取り組みを継続して予算に反映していく」という。なお、コロナ対策については「今回の削減とは切り離し、また別に対策を考える必要がある」としている。