スキー・ジャンプ女子のソチ五輪代表、伊藤有希(19=土屋ホーム)が「女葛西」になるという。国内唯一のKOシステム(勝ち抜きトーナメント)を採用する13日の「HBCカップ」(札幌・大倉山ジャンプ競技場=HS134メートル、K点120メートル)女子の部で、伊藤は高梨沙羅(17=クラレ)の持つバッケンレコードにあと50センチと迫る140・5メートルの大ジャンプを決めるなど、他を圧倒。2009年大会以来2度目の優勝を果たした。

 W杯札幌大会2連戦(11、12日)で4、8位と健闘。その勢いをまざまざと見せつけ、テンションも上昇だ。「女葛西になる? はい。そうなれるように頑張ります」と所属の監督、葛西紀明(41)の“女版”を目指すことを宣言した。

 昨年3月に下川商高を卒業し、土屋ホームに入社。同郷(下川町)の大先輩でもある葛西のすごさを間近で見てきた。「練習に取り組む姿勢もいつもすごく真剣ですし、競技にかける思いが誰よりも強いんじゃないかなと思います。すべて吸収したい」と心酔する伊藤は、葛西イズムを継承していく考えだ。葛西は11日のフライングヒルでW杯史上最年長優勝を飾ったが「私もフライング、飛びたい」とも。

 実際、伊藤には“葛西効果”が表れているという。全日本の小川孝博チーフコーチ(47)は「心ですね。強いし、前より明るくなったと思います。彼女自体が楽しくやっている」。ストイックな女ジャンパーが、普段は明るくひょうきんな性格で知られる葛西の長所に好影響を受けているようだ。

 伊藤が41歳まで現役を続けるかどうかはともかく、葛西の轍(わだち)を歩み始めたことは間違いない。