モーグル村田 亡き恩師に捧げる超難技

2014年01月11日 16時00分

 2月7日開幕のソチ五輪に出場するフリースタイルスキー・モーグル女子は美女揃い。なかでも村田愛里咲(23=行学学園教)は異色のスキーヤーだ。代表ではエースの伊藤みき(26=北野建設)、上村愛子(34=同)に続く3番手につけるが、その実力は侮れない。女子では数少ない高難度のフルツイスト(伸身後方宙返り1回ひねり)の使い手。この大技さえ決まれば、五輪でのメダル候補に浮上するのだ。

 

 雪の少ない北九州市出身。最も近いスキー場は車で片道4時間というハンディを背負い、少女時代を過ごした。初出場となったバンクーバー五輪では8位に入賞。一躍注目される存在になったが、前回は完成度が低かったためフルツイストを温存しており、ソチでは大技炸裂にこだわる。

 

 さらにフルツイストには、北海道・尚志(しょうし)学園高校時代の恩師・本濃(ほんのう)祐人先生(享年35)との“約束”がある。本濃先生は村田にフルツイストを含むモーグルのイロハを教えてくれた。しかし、2008年に多発性骨髄腫を発症し、村田のバンクーバーでの奮闘を病床で見届けて8か月後に、帰らぬ人となった。

 

 恩師はバンクーバーでの大技炸裂を誰よりも望んでいた。悲しみを乗り越えた村田にとって、ソチではフルツイストを使うことに意味がある。「もう90%ぐらい、ほぼ完成。自分でも飛べるようになっているので、ソチでフルツイストをしたいなって思います」

 

 オフの間は祖母が経営する幼稚園で働く。「顔が見えると『愛里咲先生~!』ってすぐ子供たちも集まってくるんです」(母・俊子さん)。園だよりには学期ごとに村田の近況も掲載される。保育士スキーヤーがソチで恩師の願いをかなえることができるか。