JOC山下会長 大坂なおみの「人種差別抗議行動」に一定の評価

2020年09月23日 21時49分

世界が注目した大坂の抗議マスク(ロイター)

 日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(63)が23日、都内で定例会見を行い、女子テニスの世界ランキング3位・大坂なおみ(22=日清食品)が全世界へ影響を与えた人種差別への抗議行動について「かなり勇気がいる、覚悟を持っての行動だなと思いました」と語った。

 大坂は12日に閉幕した全米オープンの女子シングルスで優勝。1回戦から決勝まで全7試合で人種差別への抗議として、黒人被害者の名前入りマスクを着用した。大半は称賛の声だったが、一部からは批判も出た。山下会長は「自分が取った行動に対する責任は全て自分が負わなきゃいけない。しかし、人種差別問題をより多くの人に認識してもらいたいという彼女の思いが、あの行動につながったのだと思っています」と話した。

 また、1984年のロス五輪柔道金メダルの山下会長は「我々が選手の時、30、40年前は余計なことなんて考えなくていい、その競技だけに集中すればいいという雰囲気でした」と振り返りつつ「時代が違う。その競技だけに集中していればいいという時代ではないと思う」との見解を示した。

 その上で今のアスリートに対して「世の中がどういうふうに動いているのか、どういう問題が今起きているのか、そういう動きについて関心を持ってもらいたい。それがその後の人生をより彩り、色多きものにしていく。JOCアスリート委員会にはこういった問題についてぜひ議論してもらいたい」と持論を展開。さらに、JOC会長として「すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく」(原文ママ)というオリンピズムの根本原則にも言及した。

「いかなる種類の差別も認めない。これが五輪の原則。この言葉を肝に銘じて、五輪精神にのっとって行動する必要がある」

 五輪憲章の第50条には「オリンピックの用地、競技会場、またはその他の区域では、いかなる種類のデモンストレーションも、あるいは政治的、宗教的、人種的プロパガンダも許可されない」(原文ママ)と記され、今回の大坂の取った行動は認められていない。しかし、1968年メキシコ五輪の陸上表彰式で黒い手袋をはめて拳を突き上げて追放処分となった米国選手(当時)のジョン・カーロス氏が「50条の撤廃」を国際オリンピック委員会に要請。五輪での抗議行為の解禁ムードが高まっている。

 大坂の言動に対してJOC会長が一定の評価を下したとなれば、今後も「50条撤廃」の動きが加速しそうだ。