東京五輪・パラリンピックの来夏開催へ組織委が異様な自信を深めるワケ

2020年09月16日 11時00分

武藤敏郎事務総長

【どうなる?東京五輪・パラリンピック(104)】どうやら開催ムード一色だ。15日に開かれた東京五輪・パラリンピック組織委員会の理事会で、各理事からは「東京五輪開催をもっとアピールせよ」という意見が噴出した。新型コロナウイルス禍で来夏の開催が疑問視され、中止論も相変わらず根強く残る中、まるで世論に逆行するように開催への機運が高まっている。組織委が異様なほど自信を深めるワケとは――。

 理事会後、武藤敏郎事務総長(77)は「非常に熱心な意見が出ました」と満足げだった。各理事からの主な声は「きちんと大会が開催されるであろうことが発信できていない」「もっと『大会はやれるんだ』というイメージを持ち、しっかり広報活動すべき」といったもの。また、先行き不透明な中で大会を目指す選手を心配した理事からは「幹部が直接アスリートと意見交換して生の声を伝え、来年の大会が開催されると思えるように伝えるべき」との意見も出たという。つまり日本全体にもっと「開催ムード」をあおり、選手には「必ずやる」と暗示をかけろというのだ。

 現在、世間の関心はコロナから菅義偉新首相誕生にシフト。一時期よりコロナ騒動も落ち着いた感があるだけに、ここで一気に世論を「五輪開催」へ誘導しようともくろんでいる。

 その流れを後押しする材料もある。まずは5000人の観客を入れて順調に開催しているプロ野球とJリーグだ。武藤事務総長は「私も最近、プロ野球の5000人の一人に入って中を見てきました。大変しっかりしたコロナ対策を行っており、我々としては大変参考になると思いました」と話した。

 また、女子テニスの大坂なおみ(22=日清食品)の劇的Vで幕を閉じた全米オープンの成功例も、組織委としては「心強い。参考になります」と自信を深める一因になっている。実際、車いす部門で優勝した世界1位の国枝慎吾(36=ユニクロ)は「現地で得たコロナ対策の知見を共有したい」と協力的な姿勢を見せており、次期スポーツ庁長官の室伏広治氏(45)とすでにコンタクト済み。大会ガイドラインは、日本語訳付きで日本オリンピック委員会に送付されているという。

 さらにスポンサー68社と意見交換した武藤事務総長は「全スポンサーが前向きに考えております」と明言。また、先頃国際オリンピック委員会のジョン・コーツ調整委員長(70)がコロナが「あろうがなかろうが」開催されると発言したことにも「我々と考え方が一致している」と言い切った。

 世論との“ズレ”は気になるところだが、組織委員会はもはや前進しか考えていない。