【東京五輪パラリンピック】選手を襲う「灼熱&豪雨問題」 全42会場の内6割超が屋外 

2020年08月27日 11時00分

東京五輪の開閉会式が行われる国立競技場には屋根がないが…

【どうなる東京五輪パラリンピック(100)】一難去る前にまた一難…。1年延期となった東京五輪は新型コロナウイルス禍で開催自体が不透明な状況だが、感染拡大防止とは別の問題が2つ浮上している。1つは連日の猛暑で、専門家は来夏も同じような気候になる可能性を指摘し、競技関係者だけではなく観客への影響を不安視。さらには、今年のように梅雨が長引けば大会実施の“障壁”になりかねないという。天候は人間が操れるものではないものの「灼熱問題」と「豪雨問題」は避けて通れない!?

 新型コロナウイルスの影響で五輪開催が危ぶまれるが、日本列島で連日続く猛暑もまた深刻な問題となっている。東京23区内では8月だけで熱中症による死者が170人に達し、昨年1年間の135人を超えて2007年以降、過去最多の210人(10年)に次ぐ数字となった。26日には神奈川・川崎市で小学生6人が熱中症とみられる症状で病院に搬送された。

 そもそも7月下旬までは梅雨前線の影響で最高気温30度未満の日が続いたものの、“五輪期間”に入って8月から気温が40度前後まで一気に上昇した。気象学に詳しい三重大の立花義裕教授(58)は今年3月時点で本紙の取材に来夏の猛暑を予想。加えて「五輪の5月開催」を推していたこともあり、当初予定の日程を踏襲した大会実施を疑問視する立場は変わっていない。

 では、来夏もやはり猛暑になるのか。立花氏は「暖冬を経て猛暑になっているので、海面水温が高い状態は維持されています。水温は一度上がるとなかなか下がらないので、このままいくとまた来年も今年のような感じになる可能性は高いですよ」と改めて分析。“猛暑再来”の確率はさらに上がったようだ。

 五輪全42会場のうち6割を超える27会場は屋外。この中にはマラソン・競歩が実施される札幌大通公園も含まれるとはいえ、首都圏を中心とした暑さ対策は万全を期す必要がある。そこで、立花氏が思わぬ注意点として挙げるのが“レインコート熱中症”だ。会場には長傘を持ち込めないため各自レインコートの準備が求められるが「体感温度は気温、湿度、日射、風で決まるので、気温が高い中で雨が降るとじめじめして体感温度が上がり、熱中症になるかもしれません。汗には体温を下げる効果があるんですが、湿度が高いと蒸発しないので」。

 立花氏は先月、各地に大きな被害を与えた豪雨にも言及。「来年もし梅雨が長引くようなことになれば、強い雨にも気をつける必要があります」と前置きした上で「今年は豪雨災害が九州などで起きましたけど、場所に必然性はなく、関東地方で起きるかもしれません。もちろん気象学的に確率は西日本のほうが高いですが、今年あったようなことはどこで起こってもおかしくないということ。(海面)水温が高い分、そういう意味でいっぱい雨が降ると考えていいでしょう」と話す。

 となれば、来夏は猛暑と豪雨の“二重危機”に見舞われる。「いっぱい雨が降って、雨がやめば暑い(苦笑い)。否定的なことを言ってしまいますが、雨が降って嫌なオリンピック、その後は一転して晴れたかと思えば、暑すぎて嫌なオリンピック…ということもありますよ」と指摘した。

 立花氏によれば、前回1964年東京五輪の10月開催は「聞いた話では56年以上前の段階で、過去のデータを調べてそれで一番気候のいいタイミングを選んだらしいんですよ。そうするとあの時期だったそうです」。コロナが解決する前に、新たな“見えない難題”が2つも直面しそうだ。

【組織委の注意喚起が〝落とし穴〟に⁉】大会組織委員会は公式サイトで「熱中症にご注意ください」と注意喚起している。熱中症を引き起こす条件に気温や湿度などの「環境」、持病や体調不良などの「からだ」、激しい運動などの「行動」の3つを挙げ、高齢者や乳幼児は「特に注意が必要」と強調した。

 熱中症予防については「会場付近の天候情報を確認し、天候に応じて涼しい服装でご来場ください」とした上で「屋外競技では観客席に屋根がない部分もあり、屋内競技でも手荷物検査などの際に屋外で待機する場合がありますので帽子、日焼け止めを塗るなどの対策をお願いします。また、雨対策にレインコートをご持参ください」とアナウンス。他にもこまめな水分補給や休憩を促している。