フランスの超新星エムバペは「新将軍」になれるか

W杯優勝トロフィーにキスするエムバペ(ロイター)

 快足ストライカーの今後は――。サッカーのロシアW杯決勝(15日=日本時間16日、モスクワ)は、国際サッカー連盟(FIFA)ランキング7位のフランスが同20位のクロアチアに4―2で勝ち、自国開催だった1998年大会以来20年ぶり2度目の世界一に輝いた。今大会で大ブレークしたFWキリアン・エムバペ(19=パリ・サンジェルマン)のダメ押し弾は、実に60年ぶりの快挙となった。各方面から称賛の声が上がる一方、批判も少なくない。“エムバペ時代”の到来は本物なのか。

 3―1で迎えた後半20分、左サイドからのパスを受けたエムバペは、ミドルシュートを突き刺し、優勝を決定づける4点目を奪った。10代選手が決勝戦でゴールを決めたのは1958年スウェーデン大会で優勝したペレ(ブラジル)以来。最も輝いた若手に与えられる「ベストヤングプレーヤー賞」も獲得し、優勝に花を添えた。

 爆発的なスピードは世界から高く評価され、2得点した決勝トーナメント1回戦アルゼンチン戦では、フランスで最も権威のある「フランス・フットボール」誌や同国で最も古い歴史を持つ朝刊紙「フィガロ」、英紙「デーリー・メール」などが10点満点の評価で8~9・5点をつけ、スペイン紙「マルカ」は満点を与えた。17人の専門家がベストイレブンを選出した英紙「ミラー」では、エムバペはクロアチアMFルカ・モドリッチ(32=レアル・マドリード)とともに満票だった。

 今大会では世界的スター、アルゼンチンのFWリオネル・メッシ(31=バルセロナ)とポルトガルのFWクリスチアーノ・ロナウド(33=ユベントス)が16強で姿を消し、ブラジルのFWネイマール(26=パリ・サンジェルマン)も8強止まり。世代交代とともに「エムバペ時代」の到来を主張する声は少なくないが、異議を唱える関係者が多いのも事実だ。

 問題視されているのは2つの悪癖だ。まずは相手からチャージを受けた際に派手な転び方をして、ファウルをアピールする点だ。

 準々決勝ウルグアイ戦では接触プレーの後に過剰に痛がった。その姿に1986年メキシコ大会得点王で元イングランド代表FWガリー・リネカー氏(57)からは「どこで学んだんだ」と痛烈に批判された。自らファウルをもらいにいき、シミュレーションまがいの行為をした揚げ句、過剰に痛がる姿がパリSGの同僚のネイマールと重なることで、一部からは「劇団ネイマールの一員」とまで言われた。

 2つ目は準決勝ベルギー戦の後半アディショナルタイムに見せた遅延行為。スローインになったボールを相手に渡さずに蹴り始めたプレーは猛批判を浴びた。「若いのに時間稼ぎができるのはすごい」という声はごく少数。「あんなことをやっていてはスターにはなれない」という意見が全世界から聞かれた。

 もちろん、メッシやC・ロナウドが“品行方正”だったわけではない。彼らは批判以上にスーパープレーで評価を高めた。エムバペは父がカメルーン、母がアルジェリア出身。20年前に優勝の原動力となったジネディーヌ・ジダン氏(46=前Rマドリード監督)と同じルーツを持つ「移民の星」でもある。「フランスの人々を幸せにできて誇らしい」と語った19歳が、驚異のスピードを武器に新時代を築けるだろうか。