日本オリンピック委員会(JOC)は27日、世界150か国以上で国際活動を展開する国際協力機構(JICA)とスポーツを通じた国際貢献および国際協力の推進に関する連携・協定の締結を発表。東京・新宿区のジャパン・スポーツ・オリンピック・スクエアで署名式を実施した。

 JOCの山下泰裕会長(63)は冒頭のあいさつで「大変うれしく思っている。国際交流といってもJOCが単独でできることは限られている。異なる分野を担う団体がそれぞれの力を持ち寄ることで新しい取り組みが生まれる」と締結の趣旨を説明。その上で「日本のスポーツ界全体が個別の勝ち負けだけに終始するのではなく、スポーツや五輪が人と人をつなぎ、友好の懸け橋としての役割を担う流れを作っていきたい。今回の締結を契機に様々な可能性を模索していきたい」と語った。

 一方、JICAの北岡伸一会長(72)は「我々の活動とスポーツの親和性は強い。特に日本のスポーツは柔道に示されているように礼に始まり、礼に終わる。相手を理解して尊敬する。我々の海外協力隊も場合によっては水も電気もないところに行って現地の人々と同じ生活をする。非常に精神が近い。とても意味ある協定だと思う」と話した。

 これまでJICAは治安が悪化していた南スーダンでスポーツ大会を実施したり、女性がスポーツをする機会が少ないタンザニアで初の女子陸上競技会を開催するなど、スポーツを通した国際貢献に尽力。山下会長は「1年後に東京五輪が控えている。様々な国際競技団体と関係を深め、JICAの活動に当てはめていきたい」と抱負を口にした。

 今後はオリンピアンを海外派遣する可能性もあり、五輪後に新しいレガシーになりそうだ。