東スポWebトップ > スポーツ > ワールドカップ > 世界のサッカーファンを失望させたドイツ代表の“猿歩きパフォーマンス”

世界のサッカーファンを失望させたドイツ代表の“猿歩きパフォーマンス”
2014年07月18日 07時10分

 世界王者の栄光に大きな傷がついた。サッカーW杯ブラジル大会決勝でアルゼンチン代表を破って24年ぶり4度目の優勝を果たしたドイツ代表のうち6人が、25万人のファンが見守った帰国後の優勝祝賀会でまさかの“オウンゴール”。歌いながら南米の人々を侮辱する“猿歩きパフォーマンス”を繰り返してしまった。その中には2人の「英雄」が含まれており、ドイツ国内からも非難の声が続出している。

 ドイツ国民だけでなく、世界のサッカーファンを失望させる“事件”が起こったのは15日のことだった。同日午前にブラジルから帰国したドイツ代表チームは、ベルリンのテーゲル国際空港から特別仕様のバスに乗ってパレード。沿道では40万人のファンから祝福を受け、そのまま祝賀会の会場となったブランデンブルク門の特設ステージに向かった。

 すでに会場に到着したときには多くの選手が酒に酔った状態だったが、セレモニーは予定通りに進行。その中でFWミロスラフ・クローゼ(35)、MFマリオ・ゲッツェ(22)、MFトニ・クロース(24)、MFアンドレ・シュルレ(23)、MFシュコドラン・ムスタフィ(22)、GKロマン・ワイデンフェラー(33)の6人の選手が信じられないパフォーマンスを始めた。

 横に並んだ6人は肩を組んでかがみながら歩き、「ガウチョはこう歩く」と歌いながらステージ中央に向かい、続けざまに「ドイツ人はこう歩く」と腰と背筋をピンと伸ばして歩き、胸を張って大声で叫んだ。これを何度も繰り返し、ステージに登場すると手に持っていたミニボールを25万人が詰め掛けた観客席に向かって蹴り入れた。

「ガウチョ」とは南米のカウボーイを意味するが、このパフォーマンスでは決勝で破ったアルゼンチンと準決勝で粉砕したブラジルを指すのは明らか。仮に“猿歩き”ではなく落ち込むしぐさを意味するものだとしても、敗者への痛烈な侮辱だ。観客の一部からは「ガウチョ」を連呼する声も上がっていたが、多くのファンは困惑し、引き気味だった。

 ドイツは今回の大会では、準決勝で破ったブラジルに最大限の敬意を払うなど、そのスポーツマン精神が称賛されていた。そんななかでの問題行動。しかも、アルゼンチン戦で決勝ゴールを奪ったゲッツェと、今大会でW杯通算最多得点記録(16点)を塗り替えたベテランのクローゼが交じっていたこともあり、ドイツ国内でも非難や失望の声が続出した。

 地元の高級紙「フランクフルター・アルゲマイネ」は「ドイツは寛大とのイメージを傷つけた」と6人を糾弾。大衆紙「シュピーゲル」は「公式行事の場でこんなことをしたことが驚き。ドイツ的なつつましさは過去のものになった」。隣国のオーストリアの言論紙「ディフレ」も「敗者をばかにする行動。軽蔑されて当然だ。6人がパーティーを台無しにした」と批判した。

 ネットでも大騒ぎで「なぜ(ベテランの)クローゼは止めなかったのか」「これなら決勝で負けた方がよかった」などの書き込みが見られ、シュルレのSNSには「ドイツにまだ人種差別が生きていることを全世界に中継してくれてありがとう」との皮肉コメントも。この話題は全世界に広まりつつあり、今後さらに議論される可能性も高い。

 ドイツの人種差別は根深い。今年4月9日の欧州チャンピオンズリーグ準々決勝第2戦ではホームのバイエルン・ミュンヘンのサポーターがアーセナルのドイツ代表MFメスト・エジル(25)をゲイ呼ばわりし、欧州サッカー連盟から準決勝でのスタンドの一部閉鎖という処分を受けた。同じドイツ人でありながら、トルコ系移民3世のエジルに対しては人種差別的発言が後を絶たない。多くの移民系選手の活躍でW杯を優勝したことで差別問題も消えたかに見えたが、今回の6人の選手の愚行を見る限り、ドイツ人の中には潜在的に差別や侮辱の意識が残っていることもわかった。

 今回の件に関して、ドイツサッカー協会や国際サッカー連盟は公式的な立場を明らかにしていない。今後、選手たちからも謝罪のコメントなどが出る可能性があるが、侮辱行動をとった事実は消えない。4度目のW杯制覇を果たしたドイツは大きな汚点を残した。


 

New Topics