柔道女子48キロ級代表・渡名喜風南はガマンの女 コロナ禍の意外な“効用”を告白

2020年07月25日 11時30分

渡名喜風南

【どうなる?東京五輪パラリンピック(87)】新型コロナウイルスはスポーツ界にも深刻な影響を及ぼしているが、特に切実なのがコンタクト競技の柔道だ。いまだに乱取りの稽古もできておらず、各種大会の開催可否も未知数な中、女子48キロ級代表の渡名喜風南(24=パーク24)が本紙インタビューでコロナ禍の意外な“効用”を告白した。来夏の東京五輪金メダルに向けて立ちはだかる世界最強の“ブロンド美女”撃破にもつながるという。

 渡名喜は現在、都内施設で週3回のトレーニングに加えて道場で打ち込みなどを行っている。五輪の1年延期、代表維持の決定に時間を要したことに驚きはなかったという。「コロナがはやり始めたころから予想はしてたんで『そうだろうなー』って感じでした。代表権維持に関しては、早く答えを出してほしいという気持ちはあったんですけど、やることは変わらないと思ってたんで」

 仮に再選考ならば、代表争いには52キロ級から階級変更してきた角田夏実(27=了徳寺大職)という実力者も加わっていた。その不安はなかったのか。「自分は全部の試合で勝つことだけしか考えていなくて、どの相手にも勝てるようにっていつも練習してるんで、そこらへんもあまり問題なかったです」

 そんな渡名喜が狙う金メダルに立ちはだかるのが“美人過ぎる柔道家”として知られる世界選手権2連覇中のダリア・ビロディド(19=ウクライナ)だ。身長172センチと渡名喜とは24センチ差。文字通りの高い壁だ。「自分と真反対な体格で、すごいやりにくいなっていうのはあるんですけど、気持ちの部分では負けてないなとは思います」

 根拠はある。昨夏の世界選手権決勝で敗れはしたものの、指導2つを奪って追い込んだ。それまでの3戦は完敗だっただけに、天敵との差は確実に縮まっている。「(ビロディドが)嫌がる回数が多くなってることは確か。自分さえコントロールできればチャンスはあるのかなって」

 焦って技をかけにいったところを投げられるというのがいつもの負けパターン。鍛えるべきはメンタルだが、コロナ禍で練習が制限される中で思わぬ収穫があったという。「我慢すること。トレーニングでも、できないことを我慢した上でできる範囲でやるとか。相手と組み合うことができないから、ゴムチューブを使って…というのも我慢しながらなので。その結果を出す場が今のところない状態なんですけど(笑い)。自分ではある程度できているかな」

 試合でも打倒ビロディドには我慢が必要。練習が思うようにできない現状が、そのままメンタルの強化につながっているというわけだ。.

 自粛生活中の“おうち時間”は大好きな読書に充てた。特に伊坂幸太郎(49)のミステリー小説にハマっていたという。「この期間を通して自分に向き合うことができた。そういう部分でも全てプラスになったと思うので、オリンピックに一番いい状態で臨めるよう、残り1年、優勝目指して頑張りたい」

 もともと粘り強さが渡名喜のスタイル。さらに「我慢」を身に付け、五輪本番では天敵相手に“5度目の正直”を狙う。

☆となき・ふうな 1995年8月1日生まれ。神奈川・相模原市出身。9歳から柔道を始め帝京大2年の2015年にグランプリ・青島大会でIJFワールド柔道ツアー初制覇し、17年には世界選手権48キロ級で初優勝した。18、19年の同大会は2年連続して決勝でビロディドに敗れて準優勝。グランドスラム大会に通算4度優勝するなど安定した成績を残し、東京五輪代表に決まった。得意技は足技、寝技。148センチ。