【東京五輪】1年前セレモニーに登場した競泳・池江璃花子がメッセージ「1年後、希望の炎が輝いてほしい」

2020年07月23日 20時34分

ランタンを掲げる池江璃花子(代表撮影)

 新型コロナウイルス感染拡大で来年夏に延期となった東京五輪の開催1年前となる23日、国立競技場(東京・新宿区)で1年前セレモニー「一年後へ。一歩進む。~+1(プラスワン)メッセージ~TOKYO2020」が開催された。

 来年の開会式の開始時刻と同じ午後8時、無観客の国立競技場には1964年東京大会で使用されたファンファーレと当時の映像が流れた。その後、白血病から復帰を目指す競泳女子の池江璃花子(20=ルネサンス)がピッチに登場。聖火がともるランタンを拾い上げ、会場の照明が点灯すると、大会を目指す全アスリートと関係者へ向けた言葉を発信した。世界に発信されたメッセージ全文は以下の通り。
 
 池江璃花子です。今日は一人のアスリートとして、そして一人の人間として少しお話しさせてください。

 本当なら明日の今ごろ、この国立競技場では「TOKYO2020」の開会式が華やかに行われているはずでした。私も、この大会に出るのが夢でした。オリンピックやパラリンピックはアスリートにとって特別なものです。その大きな目標が目の前から突然、消えてしまったことは、アスリート達にとって言葉にできないほどの喪失感だったと思います。私も白血病という大きな病気をしたから、よく分かります。思っていた未来が一夜にして別世界のように変わる。それは、とてもキツい経験でした。

 そんな中でも救いになったのはお医者さん、看護師さんなど、たくさんの医療従事者の方に支えていただいたことです。身近で見ていて、いかに大変なお仕事をされているのか実感しました。しかも、今はコロナという新たな敵とも闘っている。本当に感謝しかありません。ありがとうございます。

 2020年という特別な年を経験したことで、スポーツが決してアスリートだけでできるものではない、ということを学びました。様々な人の支えの上にスポーツは存在する。本当に、そう思います。

 今から1年後。オリンピックやパラリンピックができる世界になっていたら、どんなに素敵だろうと思います。今は一喜一憂することも多い毎日ですが、一日でも早く、平和な日常が戻ってきてほしいと心から願っています。

 スポーツは人に勇気や絆をくれるものだと思います。私も闘病中、仲間のアスリートの頑張りにたくさんの力をもらいました。今だって、そうです。練習でみんなに追いつけない。悔しい。そういう思いも含めて、前に進む力になっています。

 TOKYO2020。今日ここから始まる1年を単なる1年の延期ではなく「プラス1」と考える。それは、とても未来志向で前向きな考え方だと思いました。もちろん、世の中がこんな大変な時期にスポーツの話をすること自体、否定的な声があることもよく分かります。ただ、一方で思うのは、逆境から這い上がっていく時にはどうしても希望の力が必要だということです。希望が遠くに輝いているからこそ、どんなにつらくても前を向いて頑張れる。私の場合、もう一度プールに戻りたい、その一心でつらい治療を乗り越えることができました。

 世界中のアスリートと、アスリートから勇気をもらっているすべての人のために。1年後の今日、この場所で希望の炎が輝いてほしいと思います。

 競泳選手・池江璃花子