大会組織委員会理事・馳浩衆院議員が助言「今からフルスロットルせず70%に…イメージと実践のギャップを埋める作業を」

2020年06月26日 16時40分

本紙インタビューに応じた馳氏

【どうなる?東京五輪・パラリンピック(72)】心が折れないかが心配――。1年延期となった東京五輪に向けて競技団体やアスリートは徐々に活動を再開している。ただ、国内外で代表選考会のメドが立たない競技もあり、新型コロナウイルス禍の不安は払拭し切れていない。そこで本紙は元文部科学大臣で大会組織委員会理事の馳浩衆議院議員(59)を直撃。レスリングで1984年ロサンゼルス五輪に出場したオリンピアンが東京を目指す選手へアドバイスを送った。

 ――1年延期となった五輪で選手がモチベーションを保てるか

 馳氏(以下馳)とても難しいが、みんな同じ条件という前提がある。その上でメンタルと肉体のピークを合わせて初めて納得して試合に臨めるけど、相手がどう出てくるか分からず勝てるかどうか分からない。それが1年ずれるということは本当に大変なこと。

 ――1980年モスクワ五輪は日本がボイコット。自身は当時大学1年だった

 馳 ものすごくショックだった。五輪の年には休戦協定(五輪休戦)があるし、出られるものだと思い込んでいたので「スポーツが政治に負けた」と…。非常に不愉快な、19歳なりに悔しい思いをした。

 ――今回は状況が異なるが、延期を理由に引退した選手もいる

 馳(悔しさは)あると思う。ただ、モスクワはボイコットで、今回は史上初の延期。もちろん、まだ予選がある人は気持ちを切らさないようにコントロールしながら予選にピークを合わせてほしいと思うけど、「1年後」の余地が残っただけでも安倍(晋三)首相(65)と組織委の森(喜朗)会長(82)の判断、それを受け入れたIOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長(66)の判断は今の時点では正しいと思うし、感謝している。

 ――一方で大会準備に向けた課題は

 馳 まずはカネ。開催地の東京都が払い切れなければ、国が支援することになっている。それから運営の主体である組織委、延期を最終決断したIOCの4者が協力して応分に負担するのが妥当だと思う。

 ――関係機関の連携はどうか

 馳 JOC(日本オリンピック委員会)の山下(泰裕)会長(63)、橋本聖子五輪相(55)、組織委の森会長、小池(百合子)都知事(67)とそれぞれ責任ある立場に近しい人がいる。組織委理事、国会議員としてバックアップやつなぎ役になれれば。

 ――新型コロナの終息が見込めない中、国内外での予選は

 馳 やっぱり北半球と南半球、また5大陸はそれぞれ気象条件が違う。そのことを念頭に置いて長期戦に挑むことを考えたほうがいい。国会議員という立場上、軽々にものを言えないが、まずは国内の感染者を日々減少させること。そしてゼロにする。その間にワクチン、治療薬の開発。そこが一つの世界的な(五輪)予選ができるメドだと思う。

 ――アスリートは厳しい状況が続く

 馳 心配なのは心が折れること。あえて言えば今からフルスロットルせず、100%でやっていたのを70%くらいに抑えておくとか。自分で自分のコンディションを試すいい機会。それに今はネットで戦術確認もできる。(競技は)「目で見て確認する」「口で説明できる」「体を使ってやってみる」「お客さんの前でやる」の4段階あると思うので、イメージトレーニングと実際に体を使ってできるというギャップを埋める作業を1年かけてやるのもいいんじゃないかな。

 ☆はせ・ひろし 1961年5月5日生まれ。富山・小矢部市出身。84年に専修大卒業後、教員として母校の石川・星稜高に赴任した。同年、ロサンゼルス五輪レスリンググレコローマンライトヘビー級(90キロ級)で出場。85年に長州力率いるジャパンプロレスの門を叩いてプロレスラーに転身。95年に参院選石川選挙区から初当選した。2000年の衆院選で当選。15年に第3次安倍改造内閣で文部科学大臣に就任した。