今年秋に鹿児島で開催予定だった「第75回・国民体育大会」(10月3~13日)について、日本スポーツ協会(JSPO)、スポーツ庁、日本障がい者スポーツ協会、鹿児島県の主催4者が19日、都内で記者会見を開き、新型コロナウイルス感染症の拡大を理由に「延期」することを正式に発表した。

 4者の合意内容は「今年秋には開催しない」「大会は延期とし、具体的な開催時期は可能な限り早期の結論を得るべく、引き続き調整、検討を継続する」というもの。合意に至った理由は「選手・監督だけで3万人、観客を含めると約80万人の来場を見込む全国的な大規模イベントであり、ワクチンの開発や治療方法が十分ではない状況の中、第2、3波の懸念や県内の医療体制等を踏まえると、大勢の人の移動に伴う感染拡大リスクが払拭されていないため、来県者や県民の安全確保を考えると、今年秋の開催は困難」としている。

 JSPOの伊藤雅俊会長(72)は「苦渋の決断となりました。これまで準備してこられた方のことを考えると心が痛みます。大会を目指してトレーニングを積んでこられたアスリートには大変残念なお知らせですが、国民の安全・健康を守ることを最優先させたことをご理解いただきたい」と語った上で「中止」ではなく「延期」を強調した。しかし、開催時期について「来春となると予選をもっと寒い時期にやらないといけないので、かなり難しい」と困惑。現段階では「今年の同じタイミング…(来年)秋を考えています」と話したが、そうなると第76回大会(三重)との兼ね合いが難しくなる。伊藤会長は「年に2回(の開催)は大変です」とも語っており、宙に浮いた鹿児島大会をどこに入れるか?が大きな「壁」となりそうだ。

 一方、1988年ソウル五輪競泳100メートル背泳ぎ金メダリストの鈴木大地スポーツ庁長官(53)は「私もかつて夢や目標に向かって汗を流したアスリートとして、想像していないようなこと。選手は戸惑いと喪失感でいっぱいだろうと想像します。これまでの努力、仲間との絆はこれからの人生で役に立つと確信しております」とエールを送った。