IOCコーツ調整委員長の“10月リッミト”発言でアスリート&組織委は5か月の生き地獄

2020年05月24日 11時00分

五輪モニュメントもかすんでゆく…

【どうなる?東京五輪・パラリンピック(46)】 思わぬデッドラインが設けられた。新型コロナウイルス禍で1年延期した東京五輪について、国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長(70)は実施できるかどうか判断する重要な時期を「10月」に設定。その上で再延期しない方針も改めて示した。これによってアスリート、関係者らは開催が危ぶまれる中で“中ぶらりん”の5か月を過ごすことになる。気もそぞろな現場は、むしろ重苦しいムードに包まれている。

 数日前にIOCのトーマス・バッハ会長(66)が「来年開催できなければ中止」の方針を公表したばかりだが、今回のコーツ発言はさらに大きな波紋を呼びそうだ。

 オーストラリア紙の報道によると、東京五輪の準備状況を監督するコーツ氏は206か国・地域から1万人を超える選手や関係者、ボランティアが集まる大会と新型コロナの状況について現実問題を指摘。「ワクチンがないか、あっても世界中で共有するには十分でないことを想定する必要がある」として、再延期はできないとの考えを改めて示した。そして今年10月が開催可否を判断する重要な時期、との見通しを明かした。

 ワクチンの状況に鑑みると、来年開催は極めて厳しいと言わざるを得ない。その上で少なくとも10月までは先が全く見えない期間が続く。この煮え切らない5か月は選手や関係者にとって生き地獄。まるで“死刑宣告”が先延ばしされたようなもので、現場からは困惑の声が漏れている。

 五輪出場を目指す10代の女子選手は「正直、地に足がつかない中での練習はきつい」と嘆き、スポンサー企業から支援を受ける別のアスリートは「契約が解消されるかもしれない。10月まで不安は続く」と口にする。

 大会の準備にあたる組織委職員や会場関係者にとっても頭が痛い。組織委の武藤敏郎事務総長(76)は大会スポンサーについて「引き続きお願いする前提。まだそこまで話は進んでおりません」と話すが、企業としては中止になる可能性がある状況で“不透明な5か月”をどう捉えればいいのか。

 スポーツマネジメントに詳しい関係者は「トップスポンサーはすでに400億円ほど払っている。契約が続けば新しいCMを作ったり、アクティベーション費用もかかる。とりあえずもうビタ一文、払いたくないでしょう」と分析する。

 また、組織委と全43競技会場は「従来通り使わせていただくことで交渉中」(武藤氏)というが、仮に中止となれば10月までの交渉や準備は徒労に終わり、会場側としては5か月間の持ち出し費用はドブに捨てる形となる。本紙も報じてきたように、実際に「中止が頭にチラついた中で準備に当たるのは精神的につらい」と漏らす関係者もいる。

 コロナ終息の望みは残されているが、Xデーまで関係者の苦悩は続きそうだ。