
主役はこの男だ。ブエノスアイレスで行われたIOC総会から帰国したフェンシングの太田雄貴(27=森永製菓)ら、東京五輪招致委員会のメンバーが10日、都庁前広場で報告会を行った。
会場には開始前から数千人が集まり熱気ムンムン。東京開催決定の瞬間に涙を見せた太田には「かっこいい」とオバさまの黄色い声援が飛んだ。
直後に開かれた会見では選手としての東京五輪について「自国で開催される五輪は夢のまた夢。勝てる間は頑張りたい」とした上で「7年後は今の中高生に主役になってほしい。しかるべきタイミングが来たら道を譲る」と話した。
気になるのは道を譲った先の動向だ。プレゼンテーションではIOC委員から「ロックスターのようだ」と評された立ち居振る舞い。昨年のロンドン五輪後も、キャスター転身、政界進出などの噂が出たが、今回の活躍でさらに大きく道が開けたのは間違いない。
会見では森喜朗元首相(76)が「我々には選挙があるので」とIOC委員の票集めに政治家としての経験が生きたことを明かした。逆に言えば、太田は招致活動で選挙のコツをつかんだはず。人気、知名度も大幅アップし、どこに出ても当選間違いなしだろう。
五輪のフィーバーが続いているうちに次の道に進んでいれば…というアスリートの例も少なくないが、太田に限っては時間をかけて正解だったようだ。