南スーダン選手団の長期合宿に前橋市は胸中複雑

2020年04月20日 16時40分

 新型コロナウイルス禍による東京五輪の1年延期を受けて関係各機関は再調整を求められたが、群馬・前橋市では南スーダン選手団の長期合宿事業を継続している。しかし課題は山積みで、活動を来年まで延長できるかは微妙な状況。同市担当者も胸中は複雑だ。

 内戦で疲弊した南スーダンで十分なトレーニングができないことから、五輪、パラリンピック代表候補ら同国選手団5人が昨年11月に来日し、本番を見据えた長期キャンプを開始した。その後、五輪延期が正式に決まり今後の動向に注目が集まったが、受け入れ先の前橋市はクラウドファンディングによる「ふるさと納税」という形で1400万円を超える資金を確保しており、今年7月までのサポート継続を発表。これは複数のメディアで報じられ、選手の間にも安堵が広がった。

 ただ問題はその先だ。前橋市スポーツ課の萩原伸一氏によれば「2020年開催ということで(資金は)全部使い切る想定だったので、延期した分をどうするか内部で調整しているところ」。生活拠点となっているウイークリーマンションの契約を延長するなど活動期間を1年引き延ばすには、追加費用で2000万円が必要になるという。

 また南スーダン選手団はビザの期限が1年で切れるため、萩原氏は「更新のために帰国が必要であれば一度帰ることになるが、このような状況が続けば戻ってこれるか分からない」と指摘。さらに「もしかしたら(現地オリンピック委員会が)1年後だったら違う選手を送りたいと考えるかもしれない」と“現状維持”への課題は多いとみている。

 一方で16日には緊急事態宣言の範囲が全国に拡大し、前橋市も例外ではなくなった。今後のトレーニングスケジュールについては「検討中」のようで、萩原氏は「(他)国の選手を預かっているので、できる範囲の最大限のフォローはしている」と注意深く見守る。

 選手には週2日のオフがあるが、別の地元関係者は「お国柄なのか、必要最小限しか(外に)出ないのでは。(現地では)内戦とかあるし、あんまり危険なところには出歩かないという習性があるのかも」と話しており、自ら回避しているとか。状況は刻々と変化するが、“異国生活”が一日でも長くなることを祈るばかりだ。