【どうなる?東京五輪・パラリンピック 緊急連載(20)】 “完全再現”は可能なのか。東京五輪の1年延期を受けて、大会組織委員会と国際オリンピック委員会(IOC)は、今後の大会準備の枠組みについて「2020年の大会運営計画を踏襲」することで合意。これにより会場、競技スケジュールは形を変えずに本番を目指すことになるが、ハードルは低くなさそうだ。

 今回の共同声明によれば、組織委を含めた日本側が各会場の所有者に新たな開催日程での使用を要請し、それに向けた準備を行うことの協力を求めるという。組織委関係者も延期が決まった時点で「同じフォーマットでの開催を」と熱望していただけに、狙い通りの再スタートを切っているようだが、全43会場から使用許可を得るのは容易ではない。

 会場によってはスポーツ競技だけでなく、コンサートや多目的イベントでの使用もあり、1年後の予約状況は不透明。また、コストの問題も浮上する。管理や運営を民間が行っているものも多数あるため、組織委の森喜朗会長(82)は「(会場ごとに)契約上の違いもある。よく精査しないと一元的にいつまでに決めるということは必ずしも正しいとは思わない」と慎重な姿勢を貫いている。

 一方、すでに確保済みの会場はあるのか気になるところだが、武藤敏郎事務総長(76)は「まだ具体的に結論が出されたところがあるとか、来年は無理だという話が出てきているわけではない。今、話し合い中ということで、ご理解をいただきたい」と話すにとどめたが、水面下では四苦八苦の交渉が続いているのかもしれない。

 組織委は運営計画の詳細を来月にも固める方針だが“会場問題”は解決するのか。