【どうなる?東京五輪パラリンピック(16)】東京五輪の1年延期が決まり、約3週間が経過した。そのあおりで世界のイベントスケジュールは大改造を迫られたが、カレンダー業界も未曽有の事態に困惑している。

 2020年は東京五輪での交通渋滞の緩和や警備の円滑化を図るため、開会式前日の7月23日を「海の日」、当日24日を「スポーツの日」(旧体育の日)、閉会式翌日の8月10日を「山の日」とする法改正がなされた。3つの祝日は来年から従来の日付に戻るはずだったが、五輪延期を受けて政府は来年も「海の日」を開会式前日の同22日、「スポーツの日」を当日の同23日、「山の日」を閉会式翌日の8月9日に移す検討に入った。この状況にカレンダー製造会社からは「早く決定してくれないと間に合わない」との悲鳴が上がっている。

 多くのカレンダー業者は2年前からデザイン・企画を開始し、毎年3月には翌年分の印刷作業に入る。そのためメーカー各社は「祝日・祭日の変更は2年前までに」と国に陳情を出した経緯もある。現在すでに印刷を開始しているが、製品によってはギリギリ間に合う。東日本最大級のカレンダー専門工場を持つ株式会社トーダン(東京・荒川区)は「表記の違う製品が出回ることが一番の心配。カレンダーは皆さまの生活に直結している。製品によって祝日が違うと世の中の混乱を招く」と指摘。こんな意外なところにまで五輪延期の影響が及んでいるのだ。

 一方、東京五輪にちなんだ記念日も複数ある。7月24日(当初の五輪開幕)は「スポーツアロマの日」、9月6日(同パラリンピック閉幕)は「スポーツボランティアの日」と登録されており、日本記念日協会(長野・佐久市)によると、記念日変更には登録料の15万円に近い金額が発生するという。「スポーツアロマの日」を登録した日本スポーツアロマトレーナー協会(東京・渋谷区)は「行われるはずだった東京五輪開会式への思いを自分たちの胸に持っておく」と変更しないことを決定。こちらは“幻の日”となったことで希少価値が上がったか。