【どうなる?東京五輪・パラリンピック 緊急連載(6)】ひと足先に“フライングゲット”できるかもしれない。新型コロナウイルス感染拡大の影響で東京五輪が来年7月23日開幕となったことを受け、代表が決まっていない競技の代表選考会も見直し必至。各団体は再調整を求められるが、悪い話ばかりでもなさそうだ。

 日本陸連はマラソン・競歩の内定選手に関して出場権を維持する方針を固めている。短距離などのトラック、フィールド種目は6月の日本選手権(大阪・ヤンマースタジアム長居)で代表選手を決める予定だったが、麻場一徳強化委員長(59)は「来年7月に五輪をやるとなると、今年の日本選手権が最終選考になるとは考えにくい」と話し、代表選考は先送りとなりそうだ。

 ただ五輪開催は来夏で、時期はほぼ変わらない。麻場委員長は「来年のスケジュールは今年のように組めるのではないか」と代表選考会を来年の日本選手権に“スライド”する意向だが、そうなると浮上するのが本番と同じ新しい国立競技場で開催することだ。かねて「なぜ五輪と同じ国立競技場を使用しないのか」との意見が出ており、1年延期となったことで「国立で代表選考会を開くことができれば」(陸上関係者)と実施する可能性が高まっている。

 国立競技場では本番前のテストイベントが開かれる予定だったが、延期に伴って今後の時期や規模は未定。日本選手権で同会場を使用できることになれば、男子100メートルで日本記録保持者のサニブラウン・ハキーム(21=フロリダ大)や桐生祥秀(24=日本生命)ら代表候補には“最高のリハーサル”になるだろう。

 麻場強化委員長は「選手は(今年と)同じような形で冬、春と準備できると思う」と延期にも前向き。果たして災い転じて…となるか。