志村けんさん 地元・東村山の聖火ランナーは“幻”に

2020年03月31日 16時40分

29日に亡くなった志村けんさん

 聖火も泣いている――。大会組織委は史上初の五輪延期を受けて再スタート。会場、運営、財務、法務など複数の検討事項を挙げて課題解消に取り組む方針だが、30日に行われた理事会の出席者の間では、新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなったタレントの志村けんさん(享年70)の訃報で持ちきりだった。

 理事の一人でプロ野球ソフトバンクの王貞治会長(79)は「あれだけ世の中で頑張ってきた人。我々と一緒に歩んできた人が…コロナという理由で亡くなられるということは防ぎたかった」と沈痛な表情。続けて「今まで甘く考えていた人たちが、ああ、やっぱり身近なことだというふうに受け止めてくれたら。志村さんは不本意だろうけど死が無駄にはならない。まだまだ深刻に受け止めてない人たちもいるわけだから少しでも気を付けるというふうになってほしい」と注意喚起した。

 志村さんは聖火ランナーとして地元の東京・東村山市を走り、大会を彩るはずだった。だが感染拡大の影響で聖火リレーそのものが中止に。

 スライドでの参加も“幻”になり、東村山市の渡部尚市長(58)はツイッターに「東村山15万市民の皆さんとともにご回復を祈っていましたが、願いがかなわず残念でなりません」「聖火リレーのランナーをお願いしていただけに残念でなりません。心よりご冥福をお祈りいたします」などと立て続けに思いを投稿した。

 一方、理事会後の会見で報道陣の人数を制限するなど対応に当たった組織委関係者は「(新型コロナが)ここまでひどくなるとは想像できなかった。今後も感染拡大予防の面から対策を考えないといけない」と危機感を募らせる。

 さらに、志村さんにとどまらず聖火ランナーから感染者が出る可能性もあり、別の関係者は「これからどういう状況になるか分からない」と不安を隠せない。

“見えない敵”との戦いは終わりそうにないが、それでも志村さんがつなぐはずだった火は来年までともり続ける。