東京コロナ感染者急増で五輪選手村「隔離」使用なら事故物件?

2020年03月28日 16時40分

小池百合子都知事

 東京都は27日、新型コロナウイルスの感染者が新たに40人判明したと発表し、3日続けての40人超えとなった。このまま感染拡大が続けば、小池百合子都知事が示唆しているロックダウン(都市封鎖)もあり得る事態になってきた。病床不足が懸念される中、小池氏は東京・中央区晴海にある五輪選手村の使用を模索し始めた。五輪後は民間利用される選手村を本当に“隔離施設”にできるのか?

 感染者増大を受け、小池氏は週末(28、29日)の不要不急の外出自粛を要請。イタリアでは27日、感染した死者が前日から969人増え9134人に。1日の死者数は過去最悪となった。東京でも感染増加に歯止めがかからなければ、米ニューヨークやイタリア、フランスのように、事実上の外出禁止となる都市封鎖の発動も現実味を帯びてきた。

 そんな中、民放各局に引っ張りだこの小池氏は27日、「とくダネ!」(フジテレビ系)に出演。世界各国で医療崩壊が起きている事態に「(東京も)病床が足りなくなるんじゃないかといわれている。やり方を考えないといけない。軽症の方にはご自宅にいていただく、もしくはホテルなど借り上げる形で入っていただく。とにかく皆さんが安心していただける環境を急いでいる」と話した。

 すると、コメンテーターで新潮社出版部長の中瀬ゆかり氏から「選手村を軽症者に開放するのは?」と水を向けられ「組織委員会の管理下にあるが、工夫のしどころ。むしろ、あれだけのものがあるのにどうして使わないのか? 海外から見ればそういう声もあると聞いている。組織委員会の方々の協力も得られれば」と選手村の病床利用に言及したのだ。

 選手村はマンション21棟で構成され、五輪、パラリンピック開催時に選手・関係者ら最大約1万8000人が過ごすことができる。外部との隔離、管理のしやすさから選手村の病床利用は、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で感染拡大した際、乗客を一時的に受け入れる策として、本紙でも報じていたウルトラC案だ。

 ただ、ネックとなるのは、選手村が五輪後に「晴海フラッグ」として、民間に分譲、賃貸利用されること。権利関係が複雑で、現時点では都が開発業者から借り上げ、五輪組織委に貸し出す形となり、決して国や都の公共施設ではない。

「榊マンション市場研究所」主宰の榊淳司氏は「晴海フラッグは大手デベロッパー10社の共同開発で、都との契約がどのようになっているかにもよるが、既に第1期で890戸は販売済みです。購入した人は選手村として利用するのは了承済みでも、病院的な利用をされるのは聞いていないハズ」と、既に販売済みの部屋を使用するのは難しいとみる。

 総戸数は現時点で約4000戸。既に販売された約900戸を差し引けば、残り約3100戸が病床として利用できる可能性は残されている。販売はこれから行われる。

「まずデペロッパー全社と病床として利用することを検討し合意を得なくてはいけないが、人道的観点から渋々、OKにはなるでしょう」(榊氏)

 合意を取り付けるハードルを乗り越えたとして、避けられないのは心理的瑕疵(かし)だ。

「もともと五輪後には部屋の内装を全部はがして、コンクリ状態にまで戻す。消毒もするので衛生的には問題ないが、売り出す時には『この部屋は新型コロナの患者を収容した施設である』と告知の義務が出てくる。軽症者といえども何百、何千人も収容するようなことになれば、急変して、亡くなってしまう人も出てきてしまうかもしれない。そうなると我々の世界では“事故物件”となり、もちろん告知しないといけない」(榊氏)

 晴海フラッグの販売価格は5400万円から2億3000万円で、最多価格は8000万円台と強気の設定だ。

「五輪延期で2023年入居予定が1年延び、既に購入者の人生設計が狂っている。そこに病床活用にでもなったら、嫌がる人も多いでしょう。もともと高く売り過ぎたのもあるし、最終的に売れ残るだろうし、ケチのつきまくりになる」(榊氏)

 同日夕の定例会見で小池氏は「選手村はいくつもの機能がある。権利関係などいろいろございますので、課題を整理していく段階」と、改めて病床利用に前向きな姿勢を見せた。感染者が膨れ上がった場合、選手村が隔離施設へと変貌する日は近づきつつある。