まさに手探り状態だ。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、東京五輪の予選会が次々と延期に追い込まれている。タイムリミットが迫る中で、特に今五輪で初めて採用される競技には選考実績がなく、不安は募るばかり。そこで「サーフィン」「スポーツクライミング」「スケートボード」「空手」の各関係者が“経験値0”ならではの悩みを本紙に打ち明けた。

 新競技の一つ、サーフィンは五輪予選を兼ねた世界選手権(5月、エルサルバドル)を開催予定だが、日本チームは今月末の強化合宿を中止にした。日本サーフィン連盟の宗像富次郎副理事長(58)によれば、オーストラリアなど遠征先から帰国を回避する選手が相次ぎ「今後、プロツアーに出場予定の選手は一度帰国してしまうと、渡航禁止や入国制限などの対象になるのではないかと気にしているようです」。現時点では五十嵐カノア(22=木下グループ)が五輪出場権を手にしているが、感染拡大の影響がサーファーたちの代表争いに水を差しかねない。

“新参者”ならではの悩みもあるとか。「私たちは追加競技の立場。選手、関係者にもし感染者が出てしまったら、実績ある競技団体からどんな目で見られるか分かりません。これからも(競技が)五輪で実施されるように、自己防衛を促しています」(宗像氏)。選手には予防の徹底、関係者の業務は一部テレワークで対応している。

 スポーツクライミングは先日、選手不在で五輪のテストイベントが行われた。さらに、リードジャパンカップが延期になったことで、クライミング関係者は「代表選考会の複合ジャパンカップ(5月、盛岡)もできるか分からない」と頭を抱える。クライミングでは代表選考を巡って日本協会と国際連盟が“係争中”だが、スポーツ仲裁裁判所が正式な回答を出しておらず、こちらも出口が見えない状況だ。

 スケートボードも五輪予選を兼ねる5月の世界選手権はストリート種目がロンドン、パーク種目は南京で開催を予定されているが、ワールドスケートジャパン関係者は「やる方向なんだろうけど、大会の詳細が送られてきていない。どうなるんだろうね…」と首をかしげた。

 空手に関しては、日本選手にとって選考レースの最終戦(プレミアリーグ・ラバト大会)が中止となり、組手男子67キロ級、同女子61キロ級代表が確定していない状態。本来は4月に全代表選手を発表して合宿に入る予定だったが、関係者は「『全選手一丸となって』という筋書きが崩れた」と嘆いた。

“経験値”がない競技団体は無事に選考を終えることができるか。