東京五輪新型コロナ対策は十分なのか? 森会長“開催一択”に消えぬ不安

2020年03月05日 16時40分

テレビ会議後に取材に応じる森会長は強気一辺倒。左は武藤敏郎事務総長

 本当に大丈夫なのだろうか? 

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で東京五輪の開催を危ぶむ声が高まる中で、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(66)は「7月24日の開会を確信している」と発言した。大会組織委員会も本番に向けて「延期」や「中止」のワードは一切なし。「やるしかない」で一致しているが、依然として不安が払拭されていないことは確かだ。

 組織委の森喜朗会長(82)は4日のIOC理事会のテレビ会議で大会準備の進捗状況を説明。テストイベントの実施はもちろんだが、報告の中心となったのは世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスへの対策だ。

 先月の対策チーム立ち上げ、組織委によるイベントの対処方針を伝えるなどあらゆる手立てを打っていることをアピールすると、IOC側は「大変心強い」と評価。バッハ会長とジョン・コーツ調整委員長(69)から「7月24日に開幕できることに確実な自信を得た」とのコメントを受けたという。これには森会長も「本当にうれしかった」と振り返った。

 だが、五輪開催についてはさまざまな意見が飛び交い、ネット上では否定的な声も少なくない。感染拡大が続く“未知のウイルス”を食い止める方法がはっきりと見つかっておらず、国民の不安は膨らむばかり。さらにこの状況が続けば外国選手が日本への入国を拒む可能性も十分にある。

 それでも組織委からは「延期」「中止」といった言葉はまったく出てこない。それどころか報道陣からの「開催をいつまでに判断するのか」との質問を、森会長は「神様じゃないので、そんなの分かりませんよ」と一蹴したほどだ。

 先日は古参IOC委員のディック・パウンド氏が「延期」「中止」に関して言及して波紋を広げたが、ここに来て複数の組織トップが「予定通りの開催」を強調。これには運営の現場も「何の情報も下りてきていないということは『やる』ということでしょう。放映権的にも日程を動かすことは難しいのでは」などと言い、従うしかない。

 ただ、こうした状況では、今後感染拡大が終息せず最悪の事態が起きた場合にどう対応するのか?という疑問が残る。もちろん選手たちの胸中や社会への影響を考慮すれば、後ろ向きな姿勢を取れないことは十分わかるが…。水面下できちんと“プランB”を用意していないとなれば、有事の際にさらなる大混乱となりかねない。

 森会長は今月末から始まる聖火リレーについて「いろんな人の意見があるから、それには耳を傾けるということ。毎日状況は変わる。できるだけ柔軟に対応してやっていく」としながらも、五輪中止は「まったく考えていない」。どう転んでも“開催一択”ということなのか。IOC会長の発言だけでは、不安を消し去るに至っていないことは事実だろう。