「五輪中止」本当にあるのか IOC重鎮の爆弾発言が国会にも飛び火

2020年02月27日 16時40分

 ただならぬ雰囲気になってきた。新型コロナウイルス感染拡大を巡り、国際オリンピック委員会(IOC)の古参ディック・パウンド委員(77)による「東京五輪の中止検討」の“爆弾発言”は日本の国会にまで飛び火。政府はあくまで「個人的見解」と冷静だが、五輪開幕まで5か月を切る中で不安やパニックが広がっている。そこで本紙は東京五輪決定時に交わされた「開催都市契約」を検証し、IOC委員で国際体操連盟(FIG)の渡辺守成会長(61)に現状を聞いた。

 IOCの“ご意見番”とも言われるパウンド氏の発言に、耳を疑った人は多いだろう。AP通信に対し、東京五輪の開催是非の期限に関し「遅くとも5月下旬」との見方を示して、事態が終息しなければ「中止を検討」とも言い放ったのだ。

 その波紋は一瞬で広がった。26日の衆院予算委員会では事実関係をただす質問が飛び出し、橋本聖子五輪相(55)は「IOCの公式見解ではない」と否定した。安倍晋三首相(65)も「準備を着実に進めたい」と予定通り実施する方針を強調。東京都の小池百合子知事(67)も「IOCの東京大会を担当している方々からは『しっかりやれ』とメールをいただいている」と感染拡大阻止に努める姿勢をアピールした。

 大会関係者の多くは至って冷静に受け止めている。ただ、感染拡大が収まらなかった場合の開催判断について「数か月前にはしないといけない」との指摘が出ているのも事実だ。

 では、契約上はどうなのか? 開催是非について大会組織委員会に問い合わせると「仮定の話にはご回答できません」と言いつつ、一つの指針を示してくれた。それは東京五輪招致の決定時、IOC、東京都、日本オリンピック委員会(JOC)の3者で締結された「開催都市契約」だ。XI(11)の66項目「契約の解除」には「IOCは以下のいずれかに該当する場合、本契約を解除して開催都市における本大会を中止する権利を有する」と記されており、以下の文言がある。

「戦争状態、内乱、ボイコット、国際社会によって定められた禁輸措置の対象、または交戦の一種として公式に認められる状況にある場合、またはIOCがその単独の裁量で、本大会参加者の安全が理由の如何を問わず深刻に脅かされると信じるに足る合理的な根拠がある場合」

 今回のケースは「参加者の安全が~」の部分が該当しそうだ。過去を振り返ると、1940年の東京五輪も、開催が決まりながら日中戦争の影響で幻に終わった。皮肉にも今回もまた「中国」が関連…とネガティブな材料ばかりだが、前向きな意見もある。

 IOC委員でFIG会長の渡辺氏だ。セネガルの首都ダカールでのFIG理事会に出席した渡辺氏は「IOC委員としては答える立場にない」と前置きした上で、あくまでFIG会長として本紙の取材に応じ、こう言い切った。

「スポーツ界が冷静を失ってパニックを誘導したり、選手の夢を奪うような行動はすべきでない。私は予定通り東京五輪が開催されることを疑いません」

 同理事会では「徹底的な感染防止対策を行った上でFIG主催の大会は予定通り開催」「行政が開催中止を指示した場合は除外される」との基本方針が承認された。「今後は日本の客船のケースなどを参考にアップグレードした対応策を随時各国にアナウンスする」(渡辺氏)と対策に抜かりはないという。さらに「いまや、どこで誰が発症してもおかしくない。恐れることは大事だ」としながらも「特定の国の選手を参加させないとか、大会中止はナンセンス」とも話した。

 様々な意見が飛び交うが、泣いても笑っても五輪はあと5か月でやって来る。果たして事態はどう終息するのか。世界中が注目している。