バドミントン界に朗報だ。1月に遠征先のマレーシアで交通事故に巻き込まれ、8日に右目の眼窩底骨折の手術を受けた男子世界ランキング1位の桃田賢斗(25、NTT東日本)が退院し、復帰のメドが立ちつつある。

 東京五輪金メダルに最も近い男が悪夢に見舞われたのは1月13日のこと。乗っていたワゴン車がトラックに追突し、顔面3か所に裂傷を負った。その後の精密検査で一度は「異常なし」と診断され、4日には合宿に参加していたが、事故から約3週間後に「シャトルが二重に見える」と再検査を受けると「右眼窩底骨折」が判明。全治3か月の診断で手術を受けることになり、関係者によると、桃田はかなり動揺し、ショックを受けていたという。

 所属のNTT東日本の関係者は「手術後は日常生活を普通に送っていて、淡々と準備をして退院した」と話す。しばらく静養に入り、その後は治療に専念しながらジョギングなどの軽い運動から再開していく予定。不安視されていたメンタル面でも落ち着きを取り戻しているようだ。

 本格的な練習再開のメドは立っていないが、順調にいけば復帰戦は5月16日開幕のトマス杯(デンマーク)が濃厚。五輪選考レース(4月26日まで)でポイント独走中の桃田は残り全試合を欠場しても代表入りは確実で、7月7日付まで世界1位をキープすれば第1シードも獲得できる。

 2016年リオデジャネイロ五輪では直前に違法賭博問題が発覚して出場できず。今回も不可抗力の事故に加え、急転直下の全治3か月と試練が続く。これ以上、五輪の神様がヘソを曲げないことを祈るばかりだ。