日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(62)が3日、都内で会見を開き、東京五輪・パラリンピックを通じてJOCが果たすべき役割と目標達成に向けた戦略を説明した。

 かねて山下会長は「金メダル30個」を目標に掲げていたが、この日は(1)アスリートの育成・支援(2)オリンピズムの普及と推進(3)国際総合競技大会の派遣・招致と国際化の推進というJOCの3つの役割をはじめ、そのゴールへ向けた綿密なビジョンを熱弁。

 その中で「2020大会をきっかけに、少しでも社会に還元できる仕組みをつくりたい」と、大会で活躍した選手が被災地を訪問するプランを公表。具体的な内容は大会後に決定するが「全国的に自然災害で被害に遭われた方に、少しでも励みになればと考えている」と語った。

 また、先月29日の理事会で承認された2030年冬季五輪の札幌招致に関して「2020大会の成功を2030年につなげたい。関係各位と協力しながら準備を進めていく」と話した。国際オリンピック委員会(IOC)は昨年6月、開催地決定を原則7年前とする規定を撤廃。五輪招致プロセスが変更となったことで、IOC関係者から「かなり(招致決定が)早まると思う」とアドバイスをもらったことも明かした。

 会見中、何度も「スポーツを通じた世界平和」「活力あるフェアな社会」を繰り返した山下会長は、最後に「スポーツで最も大切な相手への尊敬の気持ちとフェアプレーの精神。それは社会生活で発揮されて初めて意味を持つ。たとえ遊びであっても戦う相手に対するリスペクトを」と自らの願いを込めて熱く語った。

 なお、JOCは中国・湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎患者が増え続けていることを受け、今月中に予定していた2022年冬季五輪・北京大会に向けた視察を取りやめたことも併せて公表した。