東京五輪あと半年!“泣き”の外食産業 世界的大会は大敵「お客さんは減る」

2020年01月24日 16時30分

酒好きの「あと1軒!」は「2軒」に増える?(写真はイメージ)

 東京五輪開幕まで半年に迫り、日本全国の飲食店や繁華街がザワついている。56年ぶりの祭典は過去最大級の訪日者数が見込まれ、大会期間中は首都圏の鉄道の深夜運行も決定し、外食産業はウハウハ…と思いきや、実情は正反対という。本紙は複数の大手外食チェーン店を取材。外食事情を探ると“お祭りムード”とは言えない厳しい現実が待ち受けている。一方で、ネガティブな印象の風俗業界は好景気が期待できるという。

 日本政府が掲げた今年の訪日客の目標は4000万人。過去最大規模の外国人客を“おもてなし”するべく飲食業界は気合十分。大会中は東京全域のJR・私鉄各路線の終電が午前1~2時台まで延び、まさに“不夜城”だ。酒好きの「あと1軒!」は「2軒」に増えるだろう。都内の複数飲食店を取材すると、閉店時間変更を検討している店が多数あった。

 しかし、笑ってばかりいられない実情が浮かび上がった。日本全国に店舗を持つ大手外食チェーンの㈱ワタミによると「五輪など世界的な大会があると、基本的にお客さんは減少する」と“外食あるある”を教えてくれた。五輪、W杯などの大きなイベントは外食産業の大敵でもあるようだ。

 それを物語るデータがある。約800社の会員を持つ外食産業組織の日本フードサービス協会が算出した2016年以降の全国外食業界の売上高を見ると、全47か月のワースト1位が19年10月(ラグビーW杯開催)、同2位が16年8月(リオデジャネイロ五輪開催)なのだ。同協会のデータ担当者は「大きなイベントがあると家に帰ってテレビ観戦する人が増え、外食はマイナスになる。リオ五輪はその影響を受けました」と説明。日本中が歓喜したラグビーW杯期間は「パブやビアホールの業態、テイクアウトは増えたけど、やはり全体では下がった」。高視聴率を連発した2002年のサッカー日韓W杯では日本中の繁華街で閑古鳥が鳴き、深刻な社会問題となったほどだ。

 では東京五輪本番はどうなるか。流通ウォッチャーの渡辺広明氏(52)は「首都圏は潤うでしょうね。選手団や関係者などインバウンド(観光客)が一斉に集まるので需要が見込まれる。それに時差がなく、朝から晩まで分散して競技が行われるのもポイント。ラグビーW杯とは状況が違う」とシミュレート。その上で「全国となると話は別ですよ。東京に人が集まりますが、他の地域はテレビを見るだけ。日本全体となると定説通り売り上げは下がる」。やはり全国展開する大手チェーンは頭が痛いようだ。

 その打開策として東京五輪にちなんだ特別メニューやイベントを検討する飲食店もあるが、実はここにも“頭痛の種”はある。都内に構える某店は「オリンピックや五輪という言葉が商標登録されていて使えない。使用料を払えば可能ですが、高額なので採算が取れません」と嘆く。

「オリンピック」「TOKYO2020」「聖火」などは日本オリンピック委員会(JOC)、大会組織委員会などが商標登録済み。昨年2月に日本語の「五輪」を登録した国際オリンピック委員会(IOC)は「権利の所在をより明確にし、ブランド保護を確実にしたい」と権利侵害に目を光らせている。

 前出飲食店は「世界的な大会の――」や「スポーツの祭典」など言葉を駆使して集客をもくろむが、外食産業にとっては逆風となりそうだ。