強化方針などを巡って選手と対立を深めている全日本テコンドー協会は26日、正会員総会を開き、新理事候補11人を満場一致で承認。これをもって金原昇氏(65)は正式に会長を退任し、その後の理事会で日本卓球協会の名誉副会長を務める木村興治氏(79)が新会長に就任した。また、副会長にバスケットボール・Bリーグ千葉の島田慎二会長(49)が選ばれた。

 再任された前理事はおらず、金原前会長の側近と言われた金原派、岡本依子前副会長(48)ら“反金原派”は一掃。正真正銘の新体制が発足し、来年の東京五輪へ向けて新たな一歩を踏み出した。

 総会の冒頭に立ち会った日本オリンピック委員会の山下泰裕会長は「皆様が心を一つに来年へ向けて準備していくことが必要になる」と話し、木村新会長は「みなさん熱心なあまりぶつかり合い、選手、指導者、役員の間で小さな混乱が発生した。我々にとって大切なのはテコンドーを愛する選手、指導者の皆さんをバックアップすること」と決意を口にした。

 一方、金原前会長は「今はすがすがしい。肩の力が抜けたという心境」と笑顔。今後は「単純に会長職を降りた形。会長ではできなかったことも多々ある。これからファイトが湧いてきます」と、正会員ではなく一会員として協会をバックアップしていくことを明かした。

 また、自身のリーダーとしての素質を「0点です」、周囲から叩かれた要因を「私の頭が硬かったから」と認めた金原氏。「すべては代表者の責任」と言い切ったが、その一方で“反体制派”へのケジメも忘れない。

 一連の騒動で、理事会中に録音された音声が一部テレビ局に流出したことに「非常に不適切。社会通念上、あり得ないこと。3社(テレビ局)が高橋(美穂)君、岡本君に録音テープを渡し、それを意図的に録音して放映した。これは非常に悪質」と憤慨。検証委員会からの指摘を受けた岡本前副会長が謝罪したことも明かした。

「半面、調査をせずに一つの流れに便乗する報道の仕方にも問題がある。いいか、悪いか、皆さん考えてください」

 最後はメディアにも苦言を呈した。