五輪の新聖地「新国立」に2つの“ナゾ”

2019年12月16日 16時30分

やはり常設の聖火台はどこにもなかった

 新たな「聖地」がついにベールを脱いだ。2020年東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとして生まれ変わった国立競技場(東京・新宿区)が、このほど報道関係者に初公開された。総工費1569億円、収容6万人の「杜のスタジアム」に本紙も潜入。新時代のスタジアムらしくバリアフリーや暑熱対策などさまざまな工夫が施されていたが、その一方で「ないもの」も…。どこを見ても存在しない“2つのアレ”にスポットを当ててみた。

 聖地誕生を祝う竣工式では安倍晋三首相(65)が「世界最高のユニバーサルデザイン、自然環境との調和や日本らしさを兼ね備えたナショナルスタジアム」と絶賛。2016年12月の着工から36か月を経て完成した国立競技場に足を踏み入れると、新たな発見の連続だった。

 日本スポーツ振興センター新国立競技場設置本部の高橋武男総括役が「細部までこだわり抜かれた点では世界最高レベル」と胸を張るように見どころ満載。屋根の内側の鉄骨フレームは木材で覆われ、木の温もりを感じることができる。南側の屋根の一部は二重ガラスになり太陽光が芝に当たるよう計算され、3層に分かれたスタンドは徐々に急勾配となる“すり鉢状”で、各層の間は風が吹き抜ける構造になっている。無風の日も大型送風機が稼働するため「真夏の猛暑でも風が通って不快な暑さを感じない」(高橋総括役)。

 だが、通路を見上げるとビックリ。本来、屋根裏に隠れているはずの梁(はり)や配管が至るところでむき出しになっており、天井板がないのだ。お世辞にもオシャレとは言いがたい“スケルトン天井”について、高橋総括役は「メンテナンスしやすいのがメリット。修理箇所も見つけやすく、すぐに交換できる。それにローコストというのがいいですね」と説明。15年12月、イラク出身の女性建築家ザハ・ハディド氏(故人)がデザインした旧整備計画が総工費2520億円という高額で批判を浴び、白紙撤回された経緯を考えると、低コスト仕様を採用したのはうなずける。

 もう一つ、どこを見ても見当たらないのが聖火台だ。五輪の象徴でもある「聖火」は大会開催中は競技場外の“第2の聖火台”に固定されるが、開会式では聖火リレー最終走者によって持ち込まれる。旧国立競技場はスタンド上部に聖火台が設置されていた。

 新しい国立競技場の「聖火台不備問題」は16年3月に判明してから議論の的になってきたが、開会式の演出などを踏まえ競技場内の設置場所を決定する。高橋総括役は「本番までに、開閉会式で使用する一時的な特設聖火台が造られると思います。ただ、どのスペースに設けられるのか? 私たちも分かりません」と首をかしげる。他の施工関係者からは「今はドローン技術も発達している。聖火輸送のすごいサプライズがあるかも」「今回は聖火台を使わず、聖火を宙に浮かすのでは?」などと、驚きの臆測も飛び交っている。

 大掛かりな工事は完了しているため「客席を減らして新たに聖火台を造ることはない」(高橋総括役)。果たしてどんな演出が待っているのか? 聖火台がないことで開会式のハードルが上がっている状況だ。