東京五輪除外決定 ロシアの“暗黒”体質

2019年12月10日 16時30分

キーマンはやはりプーチン大統領なのか(ロイター)

 来年の東京五輪まで8か月を切る中、日本スポーツ界に衝撃が走った。ロシアのドーピング不正にからむ国家ぐるみのデータ改ざん問題で、世界反ドーピング機関(WADA)はロシア選手団を東京五輪をはじめ世界の主要大会から4年間除外する厳罰処分を決めた。潔白を証明した選手は個人資格で出場可能だが、晴れの祭典でロシアの国旗掲揚は消滅。ドーピング問題が東京五輪を直撃した形となり、一気に暗いムードが漂う。この問題に精通する専門家によれば“あの人”が裏で暗躍してきたというのだが…。

 ロシアの悪行は今回に始まったことではない。国ぐるみの不正が明るみに出て初の五輪は2016年リオ大会だ。この時もWADAはロシア選手団の全面除外を検討するよう勧告したが、国際オリンピック委員会(IOC)は従わず、結果的に約280人ものロシア選手が出場。大国との衝突を回避したIOCの対応は「手ぬるい」と批判を浴びた。18年平昌五輪でも潔白な選手が参加したが、その中から違反者が出たことも物議を醸した。

 今後、処分決定から21日以内にロシア反ドーピング機関(RUSADA)が異議を申し立てれば、判断はスポーツ仲裁裁判所(CAS)に委ねられる。最終決定権はIOCが持つが、果たして事態はどうなるのか?

 CAS仲裁人を務める日本アンチ・ドーピング機構(JADA)規律パネル委員長の早川吉尚氏(50)を直撃すると「ロシアの大会にしか出たことない選手は潔白が証明できないから(除外は)仕方ない。しかし他の国際大会で“シロ”の選手は個人資格で出られる。このWADA決定は極めて筋が通っていて、合理的で正しい判断」との見解を述べた。

 その上で、リオ五輪でのIOCの弱腰についてはロシアのプーチン大統領(67)の名を挙げてこう説明する。「歴史的に共産主義国家は国ぐるみの改ざんなんて常識。国の威信がすべてにおいて優先する体制ですから。金メダルを取ったら一生安泰、どんな手段でも勝てば人生が変わる世界。そんな国家のスパイだったのが柔道黒帯のプーチンですよ(諜報機関のKGB出身)。リオ五輪でIOCは各競技団体に決定権を委ねたが、その結果としてプーチンの息がかかった柔道では、堂々とロシア勢が出場できました」

 五輪において泣く子も黙るIOCでさえ、ロシアの絶対権力者のパワーには逃げ腰になったということか。

 早川氏は続ける。「IOCの委員って国際競技連盟(IF)の代表がほとんど。その中でプーチンは柔道で力を持っていて、他にもロシアが幅を利かせているIFがあって、リオではああいう決断になった。今回も、WADAの決定に従うか、リオと同じようにIFに任せるか? そこが焦点になりますね」
 ロシアのメドベージェフ首相(54)はすでにCASに提訴すべきだとの考えを示している。IOCは「WADAの決定を支持する」との談話を発表したが、一枚岩ではないだけにまだまだ紆余曲折がありそうだ。

 それにしても、1980年モスクワ五輪を日本はボイコット。その40年後の日本開催で、今度はロシアの国旗を掲げることができないとは…なんとも因果なものだ。