バドミントンの全日本総合選手権の男子シングルス決勝戦は1日、東京・駒沢体育館で行われ、世界ランキング1位の桃田賢斗(25=NTT東日本)が西本拳太(25=トナミ運輸)を21―14、21―12のストレートで撃破。1回戦から1ゲームも落とさぬ強さで、2年連続3度目の優勝を果たした。

 東京五輪金メダルに最も近い男。そんな称号にピッタリの圧倒Vだった。この日は普段は入らない気持ちのスイッチが「ON」になった。

「日本で試合をする機会があまりない。(観客を)楽しませたい気持ちがすごくあった」と日本開催に特別な思いを抱いていた。「1回戦から自分が入場した時、たくさんの方が声をかけてくれた。きつい場面もあったけど、応援してもらって自分らしく楽しみながらプレーできた」と笑顔で振り返った。東京五輪選考レースには影響しない大会だが「この大会は一つしかない。本当に欲しいタイトル」と感慨にふけった。

 また、相手の西本も闘志に火をつけた。「同級生のライバル。彼との試合は特別、意地の張り合いです」。滑り込んだ際に左腕にケガを負ったが、全く気づかないほど集中していた。試合後、左手の甲からは流血。「全然、知らなかった。地味に痛い(笑い)」。今夏のジャパンオープンでは歓喜の涙を流したが、この日に流したのは決意の血だった。

 国内ではもはや敵なし。それでも桃田は「自分が目指す1位にはまだまだ遠い」と言い切る。東京五輪で金メダルを首からかけた時、ずっと追い続けてきた理想の王者像が完成する。