こんなに凄い!日本が世界に誇る「顔認証」双子も瞬時に 五輪史上初・すべての大会関係者の入場に適用

2019年11月23日 11時00分

これが東京大会で導入される顔認証システムだ(NEC提供)

【東スポ2020 現場最前線】1964年東京五輪は「高度経済成長」「戦後復興」の象徴と言われたが、56年ぶりとなる2020年大会は日本の最先端科学を全世界にアピールする絶好の舞台となる。競技、運営面で駆使されるさまざまな最新テクノロジーの中でも、今回紹介する「顔認証システム」は優れモノ。選手、スタッフら大会関係者約30万人の「顔」を認識し、安全な大会運営に貢献するセキュリティーだ。たとえ双子でも瞬時に見分ける超高性能技術の世界をお届けする。

 今年夏、英誌エコノミストの調査部門は「世界主要都市の安全性」のランキングを発表し、東京が首位となった。そんな「世界一、安全な都市」という看板にふさわしいセキュリティーが導入される。

 顔認証技術は過去大会でも実績はあるが、すべての大会関係者の入場に適用されるのは五輪史上初めて。今大会はすべての競技会場および選手村、国際メディアセンター、メインプレスセンター、ファミリーホテルで顔認証による厳格な本人確認が行われる。対象者は選手、スタッフ、ボランティア、メディアなどアクレディテーションカード(資格認定証)を保有する全大会関係者だ。その膨大な数の「顔」が事前にデータベースにインプットされ、対象者がゲートを通過する際に「本人か否か」を認証し、不審者の侵入や“なりすまし”による不正入場を徹底的に防ぐ。システムを開発した日本電気(NEC)によると、その照合精度は99・95%以上、エラーは100万回に1回。目視によるチェックとは比較にならない信頼性である。その精度を確かめるべく、本紙は東京五輪出場を目指す双子の陸上長距離ランナー、兄・村山紘太、弟・村山謙太(ともに26=旭化成)に協力をあおぎ、NECのシステムで照合してみた。

 写真で見ると「うり二つ」とは言えないが、旭化成の関係者が「今が一番、似ている時期かもしれません」と言うように、仮に同じTシャツでパッと目の前に現れたら見極めは難しそうだ。今回は実際の運用(ゲート入場)ではなく写真同士を照合させる実験となったが、最新技術は双子をきっちりと「他人」と判定した。NEC担当者は「非常によく似ていますが、NECは顔の画像そのもので認証しません。顔の特徴点を抽出し、データとして定量的に分析しますので、きちんと違うお二人だと認証しています」と説明する。

 東京五輪で運用する顔認証には「検出」と「照合」という2つの処理があり、顔の位置や大きさから「顔がどこにあるか?」を検出。目や鼻などの特徴量をデータ化し、「データベースにあるか?」を照合する。そのため入場確認スタッフによる「先入観」はもちろん、人間の錯覚が一切ない。さらに笑顔だろうが仏頂面だろうが表情が違っても同一人物と認識できる。たとえ当日、化粧のノリがいつもと違っても機械は本人だと見抜く。そればかりか、あまり大きな変化でなければプチ整形でもエラーは出ないという。

 ちなみに、村山兄弟が所属する旭化成にはスポーツ界で最も有名な双子の宗兄弟(ともに66、兄=茂、弟=猛)が存在する。1984年ロス五輪の男子マラソンに出場した際は見間違える関係者が続出。当時、もしも顔認証システムがあったら、瞬時に見極められていたことだろう。

【1秒間に2・3億件のデータを処理】運用面での利点もたくさんある。同システムは最速で1秒間に2・3億件のデータベースを検索する驚異的な処理スピードを誇る。東京2020組織委員会の岩下剛警備局長(51)は「暑い中でいたずらに並ばされているとストレスを感じる。今回は従来の目視による本人確認と比べ、2倍以上の速さで照合できることから円滑な入場が期待できる。会場内の安全・安心を確保するだけでなく、選手が競技に専念することで最大のパフォーマンスを発揮できる環境をつくれたと思う」と胸を張る。

 また、対人ストレスの緩和も大きなメリットだ。「感情の問題として、人にギロッと見られるよりは機械が判定する方がいい場合もある」(岩下局長)。普段なじみのない海外からの来場者については、目視での判定が難しい場合もある。疑わしい場合に「ちょっと待ってください」と呼び止めて顔を確認するのは、お互いに気持ち良くはないだろう。

 顔認証システムは日本中を熱狂させたラグビーW杯でも大活躍。岩下局長が「私たちが安全と安心を提供し、東京2020大会が皆様にとっていい思い出になるように」と願うように、日本の技術がまた一つ“レガシー”として次世代に引き継がれていってほしい。

【NGポイント】入場者は登録したIDカードをレーンに設置したリーダーに当て、着券と同時に顔認証が完了するためスムーズに通過することができる。双子も見分ける最新技術だが、セキュリティーの観点からNGポイントもいくつかある。

 まず、登録する写真はパスポートと同様に正面を向いたショット。「入場レーンではサングラスやマスク、帽子は外した状態での入場が原則」(組織委員会)という。約30万人の中に存在するか否かは不明だが、カツラも一応はOKだ。