2020年東京五輪マラソン・競歩会場の札幌移転問題で、国際オリンピック委員会(IOC)の調整委員会が30日、都内で始まった。

 札幌開催を強行するIOCのジョン・コーツ委員長(69)、五輪組織委員会の森喜朗会長(82)、開催地の東京都・小池百合子知事(67)らが集結。その席上、かねてIOCの一方的決定に不快感を示していた小池知事は正面切って堂々と異論を唱えた。

 意地と怒りのあいさつだった。コーツ委員長、森会長に続いてマイクを握った小池知事は「東京都民1400万人の代表として、この話をさせてほしい」と言い、約10分にわたって英語と日本語で大熱弁。まず一方的に札幌開催が発表されたことに「都民は衝撃を受けた。都をはじめ、都議会にも何ら詳しい説明がなかった」と憤った。

 さかのぼること2週間前、IOCのトーマス・バッハ会長(65)は「札幌市に移すことに決めた」と発言し、森会長は「受け止めるのは当然」と2者間で合意。“蚊帳の外”に置かれた恨みは今も残っているようだ。左前方に座るコーツ委員長、森会長に一瞥もくれず「準備は総仕上げの段階。東京都に最後まで相談ないまま提案されたことは極めて異例」と言い切った。

 さらに小池知事は「都民が納得いただける説明をいただきたい」とした上で「開催都市の長として、都民の代表として、東京での開催を望みたい」と改めてアピール。また、ラグビーW杯で流行した「ワンチーム」を言葉の端々に使い「ワンチームで大会を成功させたい」。最後は「お互いの信頼関係なしに、大会の成功はない」と締めくくった。東京開催にこだわりつつ、自身を“無視”したIOCのやり方を強くけん制した形だ。

 なお、IOC、大会組織委員会、東京都、日本政府による4者協議を11月1日に開くことをコーツ氏は提案した。