“脱・雑女”だ。東京五輪のプレ大会を兼ねた空手の「プレミアリーグ2019東京大会」(6~8日、東京・日本武道館)の記者会見が4日、都内で行われ、女子組手68キロ超級の植草歩(27=JAL)は「武道の聖地で優勝する」と意気込んだ。7月のアジア選手権では、まさかの初戦敗退。リベンジに燃える日本のエースが本紙の直撃に応じ、プレ大会へかける決意を明かした。

 2016年世界選手権覇者で全日本選手権4連覇中の空手界のエースが、7月のアジア選手権で人生初の初戦敗退。この屈辱が植草を変えた。「自分がチャンピオンだと自信を持ってやってきたけど、自分の中で慢心が生まれていた」ことに気づいたという。初心に帰って「組手が雑になっていた。攻撃の仕方や駆け引きの部分でどんどん雑になり、自分の良さがなくなった」と敗因を一から分析した。

 もともと性格はマイペース。植草によれば「普段の生活から雑な部分が多い」ため「電車を乗り過ごして、新幹線に間に合わないとか、飛行機の搭乗1時間前に空港に着いたのに、乗り遅れたりすることもあった(笑い)」とか。なかなかの逸話の持ち主だが「雑さをなくすことで、組手も変わってくる」と“脱・雑女”を決意した。

 そこで普段の生活から、常に先を読んで行動することを心掛けるようになったという。「メモをたくさんしたり、スマートフォンのスケジュール帳にも次の予定の連絡が来るように設定して、『雑』にならないように気をつけている」と芸能マネジャーばりの管理能力を身につけた。

 これにより組手の安定感が増して「前はケアレスミスがたくさんあったけど、今は減った」と手応えを感じている。さらに、以前は洋服などを買って気分転換をすることが多かったが「試合前になったら、心を落ち着かせないといけない。なので、自然を見て『あーっ』って(気持ちを落ち着かせる)ことが好きになった。自律神経が整うらしいので」と、新たなリラックス法も見つけたという。

 最大目標は東京五輪での金メダル獲得だけに、プレ五輪でも負けは許されない。「アジア選手権後は、今大会に照準を合わせてきた。東京五輪をイメージできる機会なので、きちんと優勝して、いいイメージを持って来年につなげたい」と強い覚悟で挑む。「負けて良かったとは思えないけど、自分の成長につながる負けだったと思う」という女王は、ひと皮むけた姿を披露するつもりだ。