異例の“未明”発表が奏功した。東京五輪チケットの第1次抽選落選者のみを対象とした「追加抽選販売」が8日午前2時にスタート。今回はアクセス集中による大きな混乱はなく、受け付け開始から午後4時までの専用サイトへの累計アクセス数は約49万件で、安定的に稼働したという。

 5月9日の1次抽選の初日は午後5時までのアクセス数が約130万件に上り、数時間に及ぶ待ち時間が発生。東京五輪組織委員会の鈴木秀紀チケッティング部長(55)が「前回の教訓を生かしたい」と語ったように、負荷がかかりにくいサイトに改善したことが成功の一因とみられる。

 しかし、決定的な理由は別にある。受け付け開始の「8日未明から」という表記だ。事件や事故のニュースで「未明」という言葉をよく目にするが「大事な公表情報をボカすか?」と感じた人も多いだろう。これこそが組織委の狙い。あえてはっきりと時刻を公表しなかったのは「極端なアクセス集中が起きないため。0時開始ではなく、あくまで未明とご理解いただければ」(鈴木氏)。

 結果的にサイトの「ウェイティングルーム」が稼働したのは午前7時ごろの1回だけ。待ち時間は1分程度で、待機者も2300人程度だったことを考えると「未明」の表記はファインプレーだ。ちなみに申し込み終了は「未明」ではなく「19日午前11時59分」なので、ご注意を。