日本オリンピック委員会(JOC)は27日、都内で評議員会と臨時理事会を開催し、全日本柔道連盟会長でロサンゼルス五輪柔道金メダルの山下泰裕氏(62)を新会長に選出した。

 2020年東京五輪招致疑惑でフランス司法当局の捜査対象となっている竹田恒和氏(71)は任期満了で会長を退任。その後継者として就任会見に臨んだ山下新会長は、やや緊張した面持ちでマイクを握ると「五輪に関わる多くの皆さんと心を一つにして、成功に導いていかないといけない。目標は金メダル30個。選手たちが誇りと自覚を持って思い切り夢に挑戦すれば、十分達成可能であろうと考えている」と力強く所信表明を行った。

 今年2月以降は連日のように新会長候補として名前が浮上したが、この時期に「いろいろな方から逃げちゃダメだぞ、覚悟を決めろ、腹をくくれ、と言われた」と振り返った。その上で「会長になってからどうしよう?ではなく、指名されたら受けようという覚悟だけは持って準備してきた」と語った。

 一方、疑惑の渦中にいる竹田前会長については「私は潔白を信じております」と言いつつ「自国開催の1年前にJOCの会長が代わるのは非常事態。疑惑を晴らすためにはJOCとして必要なことは何でもやる」と神妙な表情で語った。

 東京五輪開幕まで残り1年余り。異例のトップ交代劇を経て、金メダリストがかじを取る新生JOCがスタートを切る。