東京五輪チケット当落の不公正感 なぜ一番のスポンサー“都民ファースト”にしない?

2019年06月21日 16時30分

副団長の石川さん

 2020年東京五輪チケットの抽選結果の発表が始まった20日、日本中で「落ちた」「当たった」と明暗が分かれた。大多数が落選したようだが、外れた人からは「不公正だ」との声も出ている。なかでも、東京都民が不遇な扱いをされているというが、いったいどういうことなのか――。

 東京五輪観戦チケットは事前ID登録の上、1人につき第1希望と第2希望の計最大60セッション(チケット販売の単位。陸上競技はフィールド上で行われている複数の種目を同時に観戦できるため時間単位など、競技によって1枚のチケットで観戦できる試合数や時間が異なる)に応募が可能だった。なお、チケット販売で大会組織委員会は、今回の抽選販売に出したチケットの枚数や、競技や試合ごとの倍率などの情報を一切公表していない。

 男子卓球団体(3位決定戦)に当選した30代男性会社員は「職場の人たちがみんな落選しているので、奇跡だと思った。子持ち限定チケット(みんなで応援チケット)に応募した」と話す。

 元HKT48の指原莉乃(26)やベッキー(35)のように当選を報告した芸能人も相次いだが、ほとんどの人が「落選」だった。

「オリンピックおじさん」として知られた「国際オリンピック応援団長」の山田直稔さん(3月死去)とともに、世界中で五輪を観戦してきた「副団長」の石川恭子さん(49)もその一人。

「すべての60枠に応募したけど結果はゼロ。落選です」とため息をつく。

 だが、この結果はある程度想定していたとも。組織委は今回の抽選に出したチケットの枚数を公表していないが、石川さんはこう続ける。

「今回の1次(抽選)に用意されたチケットは全体の3分の1から5分の2。ID登録時に『300万人が登録』と聞いていた。その人数が数枚のセッションに応募したら、当選確率は1%にしかならない。100枚応募して1枚しか当たらないのなら、60枚の枠いっぱい応募しても当たらない。最終的にID登録者は750万人という話もあって、そうすると確率は0・3~0・5%程度。私が外れたのも想定内というのは、こういうことです」

 東京に住む石川さんは家族や親族含めて5人がほぼ最大枚数(約300枚)応募して、なんと全滅だった。確率的にはあり得る結果だが「今回の結果をもって不公正と思ったのは、都民に一枚も当たらないことです」と強く訴える。

 オンライン販売は12年のロンドン五輪から始まった。「このときのロンドン市長は『ロンドン市民によって成立する五輪だから、希望する市民に少なくとも1枚は必ず行き渡るようにする』と宣言した。実際、会場の半分以上は市民だった」

 それに比べて、“都民ファースト”を唱える小池百合子都知事に対して「小池さんは働きかけも議論も何もしていない。何をやっているのか。『なるべく多くの人に来てもらいたい』なんて偽善的できれいごと」と断じる。

 ヒートアップする石川さんは「五輪の一番のスポンサーは都民です。組織委員会などのずさんな計画で、(経費が)当初予算から大幅にはね上がった。期間中は混雑・渋滞が予想されるし、ゴミや汚水も発生する。都民が一番お金を出している。それなら一枚くらいチケットを都民に売ってもいいでしょう」と話す。この主張に同意する都民は多いに違いない。

 さて、第2次となるチケット争奪戦は今秋の「先着順販売」になり、3次は来春の「直前期販売」。2次は先着順であることから、1次以上にシ烈な戦いが繰り広げられることが予想される。応募期間が広めに設定された1次とは違って、2次の販売サイトには膨大な数のアクセスが超集中する。「つながらない」「ふざけんな」と阿鼻叫喚が巻き起こることも予想される。運営の手腕が問われる。

“応援アスリート”の石川さんは「諦めずに2次以降も最後まで挑戦します。会場に入れないとしても、パブリックビューイングやイベントが開催されるので、世界中の人たちと交流して、ホストカントリーの人間としておもてなしをすることにベストを尽くしたい」と誓った。