【ジャンプ】W杯V締め 小林陵侑がジャンプ台より怖がった職員室

2019年03月25日 16時30分

総合優勝のトロフィーを手に喜びを表現する小林(ロイター)

 ノルディックスキーのW杯ジャンプ男子で、今シーズン大飛躍を遂げたのが小林陵侑(22=土屋ホーム)だ。日本人初の個人総合優勝を果たし、24日にスロベニア・プラニツァで行われた個人最終第28戦でも今季13勝目を挙げて“有終の美”を飾った。日の丸飛行隊の新エースとなった若武者に何があったのか。

 シーズンで史上2位の勝利数を積み上げた小林陵は「本当に信じられない。ここまで集中して、ジャンプのパフォーマンスをできると思っていなかった。よく頑張ったなという気持ち」と喜びに浸った。日本人の歴代名ジャンパーがたどり着かなかった境地に到達したが、高校時代の恩師はどう見ているのか。盛岡中央高スキー部の伊東雄一監督(47)は本紙にこう語る。

「私にとってもうれしい限りですよ。本当に。今や中高生の憧れの存在ですから。高校時代にはメンタル面にムラがあって活躍が続かないことが多かったのですが、土屋(ホーム)に入ってからしっかりメンタル面のトレーニングも受けたのがこのような結果につながったのでしょう」

 素質には「天性のものがある」と感じながらも、課題は精神面だった。伊東監督は「とにかく好き嫌いがはっきりしている。瞬発系トレーニングのように好きな練習にはとことん向き合うけど、苦手な練習はしない。持久系のトレーニングは嫌いだったんじゃないかな」と振り返る。

“好き嫌い”は私生活にも出ていたとか。「(ある教諭が)職員室に呼んだことがあったんですが、小林は『職員室はジャンプ台よりも怖い』とか言って、全然入ってこなかったこともあるんです。(職員室にいた)私のことを嫌がっていたのかもしれませんね。でも、そういう気持ちの弱いところがプレーにもつながっていたんだと思いますよ」(伊東監督)

 そうしたメンタル面の乱れが土屋ホーム監督の“レジェンド”葛西紀明(46)らの指導によって改善された。周囲に恩返しするためにも、2022年北京五輪を見据えた“長期政権”といきたいところだ。