お騒がせ男に変化があった。格闘技イベント「RIZIN.14」(31日、さいたまスーパーアリーナ)で“キック界の神童”那須川天心(20)とエキシビション戦を行うボクシングの元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(41)が、焦燥感に駆られていることが判明した。10日には榊原信行実行委員長(55)がルールについて言及したが、現在の心境を裏付けるものだった。

 榊原氏は世紀の一戦のルールについて問われ「ボクシングの基本的なルールに準じたものになります。違うのはリングの大きさとジャッジがないことくらい。メイウェザー様の言いなりです」と苦笑しながら述べた。

 1ラウンド当たり数発の蹴りや裏拳の使用をRIZIN側が打診したが、ボクシング以外は一切認めなかったという。自らの土俵で戦うことだけは譲らず、那須川もボクシングシューズを履くことが確実だ。「最近、かなりカタくなっている」と榊原氏は証言する。

 これまで強気一辺倒だった男が、なぜここまでナーバスなのか。RIZIN関係者によると当初は那須川をなめ切り、ルールでも譲歩する姿勢を見せていたという。だが、在米の格闘技関係者から「あいつはヤバい」と立て続けに「那須川評」を聞かされ態度を豹変。試合映像をチェックし、焦りを募らせた。

 グローブも両者8オンスになることが濃厚。RIZIN側は約10キロ以上の体重差からグローブハンディをつけることを提案したが、それすら拒否している。「エキシビションとはいえ今後のビジネスに影響するから、万に一つもKOされることは許されない。言葉や態度はキャラだから変えられないけど、相当危機感を抱いてますよ」(関係者)

 それを物語る行動もある。6日(日本時間7日)に米ネバダ州ラスベガスで行われた那須川の公開練習には姿を現さず、会見では余裕をうかがわせる発言を繰り返した。しかし、父のメイウェザー・シニア氏やスタッフが総出で練習をチェックし、ビデオ撮影した。「練習などしない」とうそぶきながら、報告を受けたメイウェザーは、ここから朝晩の猛トレーニングを開始したという。

 決戦が近づくにつれ、徐々に浮き彫りになりつつある真の姿。「リングに上げればこっちの勝ち」という神童の言葉が真実味を帯びてきた。