これも“貴騒動”の余波ということか。大相撲九州場所を控えた1日、二所ノ関一門の連合稽古が福岡市西区の佐渡ヶ嶽部屋宿舎で行われた。旧貴乃花一門などから無所属になっていた5部屋(阿武松、千賀ノ浦、湊、錣山、大嶽)が新たに加わったことで、関取衆の数が大幅に増加したが、その影響はいかに――。

 この日は横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)ら二所ノ関一門に合流組の小結貴景勝(22=千賀ノ浦)ら7人を加えた総勢18人の関取衆がズラリと顔を揃えた。

 稀勢の里は疲労を理由に相撲は取らずに四股やすり足の基本運動で汗を流したものの、他の関取衆は積極的に申し合いに参加。これまでとは異なる顔ぶれ同士が激しくぶつかり合い、稽古場は独特の緊張感と活気に包まれた。大関高安(28=田子ノ浦)は幕内阿武咲(22=阿武松)、幕内阿炎(24=錣山)と26番取って14勝12敗。「稽古相手も多くなったし、たくさんの親方衆と関取衆がいていい緊張感。成長できる」と合流を歓迎した。

 一門の重鎮の尾車親方(61=元大関琴風)は「関取衆がいっぱいいて、いい稽古になる。競い合っていければ」と一門全体のレベルアップに期待。合流組には伸び盛りの20代の力士が多いこともプラス材料だ。とはいえ、若い衆を含めて力士が増えたために、稽古場はスシ詰め状態に…。部屋の建物の外にまで力士があふれるほどだった。尾車親方は「(連合稽古を東京・両国)国技館の本土俵を借りてやろうか」と私案を明かした。

 この日は合流した5部屋の師匠も勢揃い。二所一門が角界内で大派閥となったことを内外に示した。元貴乃花親方(46)が日本相撲協会を退職する一方、その元親方が2010年の理事選挙強行出馬で二所一門を離脱した「貴の乱」で、縮小の危機に直面した名門が勢力を一気に取り戻すことになった。