フェンシング協会の説明会に応募殺到 スポーツ界に外部から人材公募の波

2018年10月12日 16時30分

 政府が勤労者の兼業・副業推進にかじを切った中、日本フェンシング協会の公募が関心を呼んでいる。副業・兼業限定で重要業務に携わる人材を募集。説明会には募集人数の80倍近い数の出席希望があり、関係者を驚かせた。

「うれしいです。まさにスポーツ界に対する期待感。これを見てもらったら(他の競技団体も)勇気が出るのではないでしょうか」

 喜びの声を発したのは五輪メダリストで日本フェンシング協会会長の太田雄貴氏(32)。同協会は転職サイトを運営するIT企業・ビズリーチを通じて兼業・副業限定で4職種の計4人を公募している。先週開催した説明会には300人ほどから参加希望が寄せられたが、収容能力の関係で事前に約100人に限定する人気ぶりだった。

 募集業務は(1)経営戦略アナリスト(2)PRプロデューサー(3)マーケティング戦略プロデューサー(4)強化本部ストラテジストで、各1人の計4人(31日まで受け付け)。勤務は月4日程度が想定され、実費別で日当1万5000円が支給される。いずれも協会の幹部とともに働く重要業務だ。

 ボランティア的な職員に頼りがちなアマチュア競技団体。太田氏は「内部の人に向かない(適性のない)ポジションをさせてしまっていることが問題」と指摘する。マネジメント業務なら「マネジメントのプロフェッショナルから選んだ方が良い」。

 太田氏から見て、これまでは競技団体側が“謙遜”し「役員なんてみんなやりたがらないと思っていた」が、説明会の盛況は逆の状況を示した。

 副業・兼業限定は、人件費の問題と多人数の力を活用したいから。応募者にも「転職はハードルが高い」(ビズリーチ・加瀬澤良年氏)上に、兼業には自己投資的なメリットがあるという。

 スポーツ界の人材獲得では、同社を通じた日本サッカー協会人事部長の公募は「今までで一、二を争う人気」(同社担当者)があり、元日本代表監督岡田武史氏がオーナーのFC今治の執行役員には約940人が名乗りを上げた。それに続くフェンシングの試みはスポーツ界の“常識”に一石を投じるものになる。